金融工学

S&P500に一括投資したときの元本割れ確率を計算した。

投稿日:2021年5月8日 更新日:




 

前回の続き。

資産推移のグラフは単線で引いた平均値の推移をみるよりも、資産の広がりを加えた方がより現実的だと紹介しました。

下のグラフはS&P500指数がリスク20%・リターン7%で幾何ブラウン運動すると仮定したときの平均値の推移とその広がりを示したもの。(初年度に100万円投資)

平均値の単線だけ見ても実感はないですが、当然元本割れリスクはあります。

元本割れリスクはすでに紹介済みですが重要なので再度議論します。

「損失回避の法則」に従えば投資はリスクより元本割れ確率で議論した方が分かりやすい

 



 

元本割れ確率はイメージしにくいですが、無理やり可視化はできます。下のグラフを参照。

資産価格の広がりのうち、元本 (100万円)を下回る部分の確率を求めたのが元本割れ確率なんです。もう少し正確に言うと、価格の確率分布で100万円以下の部分を積分したもの。

元本割れ確率の計算方法は過去記事で紹介済みですが、再掲すると、

10年後:22%

20年後:14%

30年後:9%

投資期間が長いほど元本割れ確率は減ります。理由は資産価格分布が資産が上昇する方に伸びるためです。

元本割れ確率とか意味不明に思えますが、やろうと思えば計算もできるし、イメージを掴むために可視化することもできます。

可視化の第一歩は資産推移の平均値だけを見てはいけない点です。資産は分布し、分布は時間と共に広がると覚えておけば、イメージしやすいでしょう。

 

米国S&P500を平均リターン7%・リスク20%の幾何ブラウン運動でモデル化する理由。

株価はどう動くか?幾何ブラウン運動の株価変動モデルを説明します。

記事が役に立ったらクリックお願いします↓

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

-金融工学

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

S&P500を積み立て投資したリターンの確率分布の形状からリスク低減を理解する。

  前回の記事の続きです。 S&P500に一括投資したリターンの確率分布と、毎年定額つみたて投資した際のリターンの確率分布はどう違うか? 積み立て投資した際のリターンの確率分布の計算 …

S&P500インデックス投資でFIREできるか?を破産確率で検証する。

  「S&P500インデックス投資でFIRE (早期退職)できるか?」は個人的にとても気になるテーマです。 「できる派」の唯一の定量的な根拠は有名な4%ルールですが、「4%ルール」は …

S&P500の中央値はどう変化するか?幾何ブラウン運動による中央値の変化を示す。

  過去記事では資産の推移を計算するときに平均値を使うのはミスリードする可能性があると紹介しました。 じゃあ、平均値ってなんぞや?要は資産価格は平均値の周りにぐにゃーと広がるように分布をもつ …

米国S&P500の最適なレバレッジが1.75倍の理由。だからSPXLの3倍は高すぎる。

  米国S&P500の最適なレバレッジは1.75倍であることは前回の記事ですでに紹介しました。なぜかこの記事のアクセス数が異常に高かったので、もう少し分かりやすくかみ砕いた内容で再掲 …

リターン中央値を最大化する最適レバレッジ比率の効果を幾何ブラウン運動で説明する。

    前回の記事「なぜレバレッジをかけて高リターンを得るのは運ゲーなのかを幾何ブラウン運動で説明する。」では、レバレッジについて以下のように説明しました。 (1) 株価が幾何ブラ …

サラリーマンが全資産の95%をインデックスファンド(S&P500・オルカン)で運用中。2024年に億り人達成!ブログで様々な投資シミュレーションを紹介!

お問い合わせは:こちら

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ