株価はランダムな動きをすると仮定して構築されたのが現代ポートフォリオ理論。難しそうな微分積分の式を見れば怖気づきますがミソだけ押さえれば理解するのはさほど難しくありません。
株価が「ある一定方向に動く」と「ランダムに変動する」という2つの性質をもつと仮定すると、ある時刻の株価が単位時間にどれだけ増える(または減る)かは次の式で記述できます。これが幾何ブラウン運動です。
この式がどういう意味をもつのか図解したのが下の図です。ある時刻の株価は単位時間後に50%の確率で上がるか下がるというわけです。これがウィーナー過程の効果です。
ただし図を見ても分かる通り、株価が上がるときの上げ幅の方が、株価が下がるときの下げ幅よりも大きくなる。これがドリフト項の効果。
こうやって株価は時間が経つにつれてちょこちょこ動く。その株価がどのような分布をとるのかを調べるには、各株価の位置を壁に投影して記録していけばいい。
すると株価の分布は対数正規分布をとることが分かります。そしてその分布の平均と分散も分かります。
平均とリターンの数式を見て分かるように式の中に時間が入っています。だから平均と分散は時間に依存します。
株価の変化率の分布の時間変化を示したのが下のグラフです。過去の米国株式インデックスを参考にして収益率7%・標準偏差20%としています。
これを見ると時間が経つにつれて裾が立ち上がってくるのが分かります。裾が立ち上がれば高いリターンとなる頻度が上がるということです。つまり時間が経てば経つほど高いリターンを得ることができる。
参考までにリターンの分布は次の式で求めることができるので載せておきます。この分布をグラフにしたのが上の図です。(レバレッジが入っていますが本記事ではレバレッジなし、つまりL=1と考えてください。)
そこでリターン(収益率)の平均値を見ていくと;
1年後:7.2%
2年後:15.0%
3年後:23.4%
4年後:32.3%
5年後:41.9%
年が経つにつれて平均収益率はどんどん大きくなります。これがまさに複利の効果なのです。
まあ複利の効果なんて難しい数式をいじくらなくても誰でも知っているわけですが、こんなまどろっこしいことをしたのには理由があります。
それは、複利の効果を視覚的に表現したかったからです。株価が「ある一定の方向に動く」と「ランダムに動く」ことをモデル化して導出した式をグラフにすると、対数正規分布の裾が時間が経つにつれて立ち上がってくる。そして裾はどんどん広がる。だから収益率が大きくなると、目で見てわかる。
実はここにレバレッジの効果を加えると面白いことが分かります。レバレッジはTECLやTQQQなどのETFで有名ですね。
レバレッジの効果を考えると対数正規分布がどのように変化するかは別の機会に紹介します。
記事が役に立ったらクリックお願いします↓