金融工学

S&P500にレバレッジ3倍かけると元本割れ確率の減少が鈍い。【SPXL】【レバレッジETF】

投稿日:2021年5月21日 更新日:




 

S&P500にレバレッジ3倍をかけるとレバレッジなしの場合よりもリターンの中央値が下がります。

過去記事より再掲。ちなみに中央値が最大化する最適レバレッジは1.75倍です。

中央値が下がるから何が悪いんだよ?という意見もごもっとも。平均値は上がるけど中央値が下がるとか言われてもピンとこないんです。人間なんてそんなもんでしょう。

行動経済学でも判明していますが、人間は損することに敏感な生き物です。狼狽売りとか言いますしね。

だから元本割れ確率で議論するのは有益だと思うんです。では3倍レバレッジかけると元本割れ確率はどう変化するか?

 

Sponsored Link



 

下のグラフはS&P500 [リスク20%・リターン7%]が幾何ブラウン運動すると仮定して元本割れ確率がどう変化するかを見たもの。

レバレッジなしの場合は投資期間が長くなるにつれて元本割れ確率は大きく減ります。

一方でレバレッジを3倍かけると元本割れ確率の減りが鈍くなります。1年後の元本割れ確率は49%ですが、7年後では45%と大して変わらないのです。

理由は下のリターンの確率分布の時間変化を見れば分かります。

レバレッジなしの場合は確率分布の最頻値のリターンがほぼ変わっていません。

一方で、レバレッジ3倍の場合、投資期間が長い程リターン最頻値がリターンが小さい方に下がってきます。元本割れ確率はカーブの下の部分をリターン0倍~1倍の区間で積分した値。

投資期間が長いほど最頻値が小さくなる。その結果、元本割れ確率(積分値)大きいまま維持されるのです。

 

リスク許容度が高ければ一時期の元本割れなんて気にしないでしょうが、ビビりの人間が流行にのってSPXL買うのはお勧めできません。理由は上で見たように元本割れ確率が高いからです。

関連記事:

S&P500に投資したときの元本割れ確率を可視化してみた。

S&P500の過去リターンをパレート図で見る。明かされる元本割れ確率。

「損失回避の法則」に従えば投資はリスクより元本割れ確率で議論した方が分かりやすい

 

 

記事が役に立ったらクリックお願いします↓

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

-金融工学

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

資産運用で何に投資するかはIRR(内部収益率)を比較して決めるのが基本です

  十分な資金が手元にあって何か投資をしたいとき、何に投資をするべきか?それをどのように意思決定するべきか? 例えばある企業が太陽光発電事業に参入するとして2つのケースから選ぶ必要があるとし …

WealthNaviのアルゴリズムを読むべし。現代ポートフォリオ理論に基づいてキッチリ分散。

  資産運用をやってる人の中にはWealthNaviを利用している人も多いと思います。 WealthNaviは利用者のリスク許容度をもとに国際分散投資を自動でやってくれるサービスです。今現在 …

S&P500に「72の法則」を適用して「10年後に元本2倍」のウソを確率分布で説明する。

  過去記事の続き。 S&P500の年平均リターンは7%。だから「72の法則」を適用すれば10年で元本2倍になる。 これは正しくないと説明しました。理由はリスクの存在を考慮していない …

S&P500に一括投資したときの元本割れ確率を計算した。

  前回の続き。 資産推移のグラフは単線で引いた平均値の推移をみるよりも、資産の広がりを加えた方がより現実的だと紹介しました。 下のグラフはS&P500指数がリスク20%・リターン7 …

S&P500つみたて投資は一括投資より元本割れしやすい理由を数字で説明する。

  前回の続きです。 一括投資と比べてつみたて投資って何がありがたいのか?と聞かれれば、リスクを減らせるのがイイ!というのがザックリした(よくある)答えです。 ただし、この点はもう少し深堀す …

サラリーマンが全資産の95%をインデックスファンド(S&P500・オルカン)で運用中。2024年に億り人達成!ブログで様々な投資シミュレーションを紹介!

お問い合わせは:こちら

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ