金融工学

投資でよく出てくる単語「リスク許容度」を分かりやすく説明する。

投稿日:2021年8月2日 更新日:

 




 

前回の記事では、リスクが大きいとリターンが高くなるチャンスも増えるが、同時に元本割れする確率も増えることを確率分布で説明しました。

(1)リターン7%・リスク20%:元本割れは45%、2倍越えは1%

(2)リターン7%・リスク100%:元本割れは68%、2倍越えは13%

(1)と(2)のどちらを選ぶかはリスク回避度によるから、どちらを選ぶべきかは自分で考えれば?というのが私の考え。

もう少し付け加えると、金融のポートフォリオ理論では「リターンが高い=よいこと」「リスクが高い=よくないこと」と考えるので、(1)と(2)を比較すれば(1)を選ぶのが定石です。

ですがリスク (資産の価格変動)が大きければ、元本割れ確率だけでなくリターンを高めるチャンスもあるんだから、リスクだって捨てたもんじゃないという考えも否定はできない。

それを踏まえたうえで敢えて(2)をテイクするかどうかは、結局リスク許容度に基づいてやるべきだと。

投資は自分の「リスク許容度に基づいてやれ」という、いわば常識的な説教がでてきたわけですが、じゃあ「リスク許容度ってなに?」という話になってくる。

分かります?リスク許容度は何を意味するか?

 

Sponsored Link



 

「リスク許容度」という言葉をググるとみずほ証券のサイトが出てくるんですが、そこにはこのように書かれています。

リスク許容度とは、「どれくらい投資元本がマイナスとなっても生活に影響がないか」「どれくらいまでなら投資元本がマイナスとなっても気持ち的/気分的)に耐えられるか」というものです。

なるほどね。で、どうやって計算すんの?と思います。

私の理解では、リスク許容度は「相対的リスク回避度」として数値で表すことが出来ます。

上で引用したように「どれくらいまでなら投資元本がマイナスとなっても気持ち的/気分的)に耐えられるか」を「効用関数」という気持ちよさを表す関数を用いて表現することで計算できるんです。

これは非常におもしろいので、関連するトピックと絡めて次回以降の記事で紹介していきます。流れとしては、次のようになります。

(1) 「ライフサイクル投資術」に出てくる相対的リスク回避度 (RRA)

(2) RRAからリスク資産の最適割合の計算方法

(3) マートンのポートフォリオ問題

(4) リスク資産の最適割合とレバレッジ比率の関係

(5) サンクトペテルブルグのパラドクスと効用関数

(6) 結局「ライフサイクル投資術」のRRAグラフは効用関数からどうやって求めるのか?

 

 

関連記事:

リスク (神々への反逆)ピーター・バーンスタインの書評。リスクマネジメントの歴史を理解できる良書。

 

Twitterでブログ記事の更新通知を受け取れます:

 

記事が役に立ったらクリックお願いします↓

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

-金融工学

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

ゼロで死ぬためのインデック投資法 (入金と売却の具体的な方法)

  前にDIE WITH ZERO (ゼロで死ぬ)という本が話題になりました。「人生が豊かになりすぎる究極のルール」という薄っぺらい副題を見て「あっ・・・そういうのいいです・・・」と立ち読み …

なぜリスクが大きいとトータルリターンが低下するのか?幾何ブラウン運動で定量的に説明する。

    株価の変動は幾何ブラウン運動でモデルできることがよく知られています。 幾何ブラウン運動はこのブログの記事で何回も出てきてますが、あえて基礎に立ち返ってみます。すると株価変動 …

高配当株かグロース株どちらに投資するかはIRRを比較するべし。

  読者様から質問を頂きました。どうもありがとうございます。 高配当銘柄に投資するか成長が見込めるグロース株に投資するか、どちらが大きなリターンを得ることができるとお考えでしょうか?理由も教 …

マートン・社畜の式 (S&P500の最適比率 = 1.75 / RRA)を説明する。

  過去記事でマートンのポートフォリオ問題と最適レバレッジ比率の関係について紹介しましたが、名前を付けておこうと思います ww この式は結構使えると思うし、今後も色々と引用するときに名前ある …

TECLとTQQQのレバレッジ3倍は高すぎるのか?最適レバと比較すると全然高くなかった。

  前回の記事ではS&P500の最適レバレッジが1.75倍であることを紹介しました。ポイントだけ再掲します。 (1) ポートフォリオにレバレッジをかけるとリスクとリターンが高くなる。 …

都内在住の30代サラリーマンです。資産の95%をインデックス投資で運用しています。2024年3月に資産1億円を超えました。

このブログではインデックス投資の利点、運用シミュレーションや金融工学の記事を公開していきます。

趣味はミニベロ

お問い合わせは:こちら

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ