過去記事でS&P500のリターンをヒストグラムにして視覚化しました。
S&P500の過去リターンをヒストグラムで見る。非対称なグラフが示す成長性。
その結果、期間を長くするとリターン分布は平たんになり、幾何ブラウン運動としてモデル化・計算した結果と近い結果になることが分かりました。
過去記事から抜粋:
下のグラフはリターンを1年、5年、10年、20年間隔で計算してヒストグラムにしたものです。1年のリターンの平均は7年。ここから期間増やせば増やすほど、右側に伸びていきます。
注目すべきはリターンが0%のオレンジの線です。オレンジ線より右側にあればリターンがプラス。時間が経過するほど、右側にシフトする度数が多いことが分かります。
例えば期間を20年にすればリターンがマイナス、つまり元本割れ確率はほぼゼロです。
ちなみにヒストグラムって便利なんですよ。これを使えばあるリターンを出した回数とか、ある値以上のリターンを出した回数を計算することができます。
例えば、0%を下回る回数をサンプル数で割れば元本割れした割合を計算することができます。過去の傾向が未来にも適用できるとすれば、その割合はそのまま未来の元本割れ確率とみなせることが分かります。
「ある値以上のリターンを出した回数を計算する」とはパレート図を作るということです。
というわけで、上のヒストグラムに対応するパレート図を作ってみます。それが下の図。
これを見ればある値以上(または以下)のリターンを出した割合が分かります。まずは元本割れした割合を計算してみます。図でいうとオレンジ線と交わる値です。結果は:
1年:23%
5年:18%
10年:10%
20年:4%
元本割れ確率は時間経過するほど減りますね。
パレート図から分かったのは元本割れした割合。過去と同じ傾向が未来にも再現できると仮定すれば、これは未来の元本割れ確率といえます。
パレート図なら元本割れ回数だけではなくてリターンが2倍や3倍になった回数も簡単に計算できます。度数をカウントすればいいだけなので。
この結果はまた別の機会に。
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