過去記事でS&P500に投資した際の最適比率を計算する方法を、マートンのポートフォリオ問題を用いて説明しました。
マートン・社畜の式:
S&P500の最適比率 = 1.75 / RRA
詳細は以下の通り。
(1) 投資家はリスク資産としてS&P500だけに投資する。
(2) 投資家は「確率50%で資産が2倍か、確率50%で資産がk%減るとき、あなたが許容できるkの値は?」というアンケートに答える。
(3) kの値を決めたら、下のグラフ (「ライフサイクル投資術」から抜粋)をもとにRRAを計算する。
(4) RRAを求めたらマートン・社畜の式に代入してS&P500の比率を計算する。
ステップ(3)で上のグラフから数値を読み取る必要があるのですが、別の記事では、効用関数を用いることでこのグラフを再現することができました。
つまりマートン・社畜の式とグラフ作成時の計算式を使えば、わざわざRRAを計算せずとも、資産減少割合kから直接S&P500の最適比率を計算することができます。
やってみよう。
結果がコレ。グラフと早見表を作成しました。
ちなみにS&P500の最適比率が100%を超えているのはレバレッジをかけているときです。175%はリターンの中央値が最大になる最適比率。
私は現在資産の95%をリスク資産に投資してますが、早見表によるとリスクに晒してよい資産(50%の確率で資産2倍になる代わりに50%の確率で失ってもよいと考える資産の)資産の上限は約35%です。
また、36%の資産をリスクに晒してもよいと考えるときS&P500の最適比率は100%となります。つまり36%を越えればレバレッジをかけることになります。
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参考文献:
「意思決定」の科学 なぜ、それを選ぶのか【電子書籍】[ 川越敏司 ]
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以前、最適レバレッジ倍率を導き出した記事を読んで、衝撃を受けたものです。このリスク許容度シリーズもたいへん興味深く読ませていただきました。
このシリーズ初期の記事で、RRAを求めるグラフの横軸に「リスクに晒してもいい収入の上限」と書いてあり、その語感から、「手取り月収から生活費(家賃や食費など)を差し引いた、投資に回せる最大額」かと思って読み進めていました。「転職により許容できる最大減収額」だったとは。
例えば、手取り月収20万円の人が毎月4万円(2割)を投資に回せるとしたら、早見表からS&P500の最適比率は46%と、ほぼ半々だから、2万円をS&P500インデックスファンドに投資、残りの2万円は定期預金に預け入れるのが最適、という解釈はありえるのでしょうか。
コメントありがとうございます。
>例えば、手取り月収20万円の人が毎月4万円(2割)を投資に回せるとしたら、早見表からS&P500の最適比率は46%と、ほぼ半々だから、2万円をS&P500インデックスファンドに投資、残りの2万円は定期預金に預け入れるのが最適、という解釈はありえるのでしょうか。
少し違います。
手取り月収20万円の人が、月当たり支出が16万円だとします。すると残りの4万円をS&P500に投資するか預金するか選択することになります。
その4万円のうちの20% (8000円)をリスクに晒しても良い (=最悪ゼロになってもいい)と考えるのなら、最適比率は46%になります。
明快なご回答に感謝します。
簡易表見やすくてありがたいです。
確か原本(ライフサイクル投資術)だと、RPAの計算は現在の給料が2倍になる代わりに収入の〇%を犠牲にしてもいいかという話だったかに記憶していますが、今回は総資産の〇%を犠牲にしてもいいということで計算されてるのですね。
自分は前者と後者だと結構値が変わるので、落としどころが難しいなと感じました。