資産運用 金融工学

TECLとTQQQのレバレッジ3倍は高すぎるのか?最適レバと比較すると全然高くなかった。

投稿日:2020年11月28日 更新日:




 

前回の記事ではS&P500の最適レバレッジが1.75倍であることを紹介しました。ポイントだけ再掲します。

(1) ポートフォリオにレバレッジをかけるとリスクとリターンが高くなる。

(2) ただし、ある閾値を超えたレバレッジをかけるとリターンの中央値が下がる。

(3) その閾値はリスクをリターンの2乗で割って求めることができる。

(4) 従ってS&P500の最適レバレッジはその閾値1.75となる。

(2)を示すグラフも再掲します。下の通り。

 

S&P500にレバレッジ3倍をかけたETFにはSPXLがありますが、この結論に従うと3倍はレバレッジをかけすぎていてリターンの中央値を下げてしまうことが分かります。

では他のETFはどうか?

取り上げてみたいのがTQQQ。ナスダック100指数に連動するETFのQQQに3倍レバレッジをかけたETFです。QQQのリスクとリターンはFidelityのサイトから入手できるので、QQQの最適レバレッジを計算して3倍と比較してみます。

もうひとつがTECL。米国情報技術セクターに分類される銘柄に3倍レバレッジをかけたETFです。情報技術セクターのETFにはバンガード社のVGTがあるので、サイトにあるVGTのリスクとリターンを使用してVGTの最適レバレッジを計算して3倍と比較します。TECLとVGTの構成銘柄やその割合が完全に一致しているわけではないのですが、一致しているものと仮定します。

 

Sponsored Link



 

リスクとリターンは次の通りです。期間は10年としています。

QQQ: リスク 15.32%  リターン 19.05%

VGT: リスク 16.24%  リターン 18.94%

これをもとに最適レバレッジを計算したのは次の通りです。

QQQ: 8.1倍

VGT: 7.1倍

この結果は意外でした。計算上、TQQQやTECLのレバレッジ3倍は全然高くないということになります。つまり3倍レバレッジかけたところでリターンの中央値は下がらない。

S&P500の場合はリスク20%、リターン7%を使って考察しました。S&P500の場合はリスクに対するリターンの割合 (シャープレシオ)が低いために最適レバレッジが低くなります。

ところがQQQやVGTはシャープレシオが1.0を超えるほど高い。だから最適レバレッジが高くなるのです。

ただし、QQQやVGTはセクターが偏るので、直近10年のリスク・リターンを使って最適レバレッジをはじき出していいものかは・・・ちょっと自信がありませんね。

少なくとも言えるのは、今後もハイテクが異常に高いシャープレシオを維持するなら、3倍レバレッジはリターンの中央値を下げることはないということです。

まあ直近10年のデータは少なすぎるしセクターが偏り過ぎて分散効いてないので、私なら投資しませんが ww

 

参考:

米国S&P500の最適なレバレッジが1.75倍の理由。だからSPXLの3倍は高すぎる

【衝撃】レバレッジはリターンの中央値を下げる【金融工学】

 

記事が役に立ったらクリックお願いします↓

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

-資産運用, 金融工学

執筆者:


  1. アバター てむ より:

    私もQQQの最適レバレッジを出しました。
    10年で計算結果は同じでした。
    SP500の方はあんまりレバレッジを掛けるなとエクセルに言われました。
    書いてある通りの8倍は人間の域を超えています。
    QQQは最強インデックスかもしれませんね笑

comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

インデックス投資やるなら知っておくべき | 現代ポートフォリオ理論を分かりやすく解説

  私が現代ポートフォリオ理論に興味を持ったのがインデックス投資を始めてしばらくしてからです。 インデックス投資を始める前に読んだいくつかの書籍には、「インデックス投資が最も効率的な投資であ …

リスク資産の最適な割合を計算するためのサミュエルソンの割合。

  前回の続きです。 株などのリスク資産を持っているとき、自分のポートフォリオ全体でリスク資産を何%にすべきか? そう問われれば「自分のリスク許容度に見合った割合にすべき」というのが教科書的 …

長期投資は7:3で上昇・下落の繰り返し。これが嫌なら投資やめるしかない。

  インデックス投資アドバイザーのカン・チュンドさんのブログにこんなことが書いていました。 「長期投資は7:3の世界」 長期投資は7:3の世界だと思います。7割の良い年と、3割の悪い年です。 …

S&P500の最適レバレッジは1.75倍。SPDRとSPXLを10:6で混ぜれば作れる。

  前回の記事でS&P500の最適レバレッジは1.75倍だと説明しました。レバレッジを大きくすればするほどリターン分布の中央値が大きくなりますが、ある閾値を境に中央値は下がります。そ …

積立投資は「投資金額の時間発展の総和」と捉えると分かりやすい。

  一括投資と積立投資の違いは何か? 前者は手持ちの資金を初年度に一括で投資すること。後者は手持ちの資金を数回に分けて投資することです。これだけ読んでもふ~んとしか思いません。では図示してみ …

チャンドラです。

都内在住の30代サラリーマンです。このブログではインデックス投資の利点、運用成績、運用シミュレーションや金融工学の記事を公開していきます。

自己紹介は:こちら

お問い合わせは:こちら


にほんブログ村 株ブログ インデックス投資へ

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ