資産運用

オルカンは本当にS&P500より分散されているのか? (米国指数 vs 米国除く全世界指数)

投稿日:2024年3月13日 更新日:




 

オルカンはS&P500より本当に分散されているのか?

答えはYes。オルカンが米国含め全世界を対象としている以上、地域の観点では分散されています。

でも「ポートフォリオとして分散されている」と言うには「米国市場の株式指数と米国以外の市場の株式指数の相関が低い」が条件になると思います。

極端な例を考えると、米国の指数と他国の指数が全く同じ動きをするのであれば、「分散されている」とは言えません。一般的にポートフォリオを語る際に使われる「分散されている」とは、あるアセットの価格変動と別のアセットの変動に相関性がない状態を言うためです。

実際のところ、米国指数と他国指数の相関はそうなっているのか?2つのETFを比較してみます。

SPY: S&P500に連動

CWI: 米国を除いた全世界の株価指数に連動

まずは、2008年以降のチャートを見てみます。(緑:SPY, 青:CWI) これを見るとリターンはSPYが大きく勝るものの、価格変動の仕方はほぼ同じように見えます。ぱっと見で相関性は高そうです。

両ファンドのリスク・リターン・相関係数をまとめたものがリンクで見れます。これによると、10年間の年率リスク・リターンは

SPY: 12.62%/12.2%

CWI: 4.66%/12.99%

相関係数:0.84

ここから分かることは、

(1) SPYはCWIより年率リターンは大きく勝る

(2) SPYとCWIはともにリスク(標準偏差)はほぼ12%程度でほぼ同じ。

(3) SPYとCWIの相関係数は0.8を超えている。かなり高い。

ここで気になるのが(2)と(3)です。米国指数と米国以外世界指数がほぼ同じ動きをし、なおかつ価格変動の度合いも同じ程度なのであれば、2つの指数をくっつけたオルカンの価格変動の度合い(リスク)は下がらないのではないか?

あくまで過去10年だけを見た結果です。もっと長い期間で見れば相関は変わってくるかもしれません。

 

(追記)

Portfolio visualizerというサイトで相関係数を簡単に調べられます。一番長い2008年以降の16年分のデータによると相関係数は0.9でした。

 

参考記事:

オルカンとS&P500両方で新NISAつみたて投資してバラバラに売却

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

-資産運用

執筆者:

関連記事

S&P500長期リターンと幾何ブラウン運動モデルの比較

  過去記事からの引用。1950年1月以降のデータを使って1年リターン[%]を、1年・10年・20年・30年・40年の長期リターンを示したのは下のグラフです。 このデータをヒストグラムにして …

投資本買うより「ファイナンス理論入門」をすすめる理由。

  本屋で投資関係の本をさーっと立ち読みした中でも、冨島佑允氏のファイナンス理論入門はとびぬけた良書だと思ってます。ちなみに本書は購入済み。 とにかく知性が滲み出ています。数字の裏付けがない …

シャープレシオが最大になるのは効率的フロンティア曲線上の接点ポートフォリオ。

  前回の記事では、WealthNaviの資料をもとにエクセルのソルバーを使って効率的フロンティア曲線を作成しました。 効率的フロンティア曲線は、各リスクに対してリターンが最も高いポートフォ …

東京都民(勤労世帯)の収入は850万円、支出は430万円

  都内住み勤労世帯の収入と支出を調べてみました。 データは東京都が発行している月報「都民の暮らしむき」で入手できます。直近のデータによると: 実収入:8,523,488 可処分所得:6,8 …

米国S&P500の最適なレバレッジが1.75倍の理由。だからSPXLの3倍は高すぎる。

  米国S&P500の最適なレバレッジは1.75倍であることは前回の記事ですでに紹介しました。なぜかこの記事のアクセス数が異常に高かったので、もう少し分かりやすくかみ砕いた内容で再掲 …

サラリーマンが全資産の95%をインデックスファンド(S&P500・オルカン)で運用中。2024年に億り人達成!ブログで様々な投資シミュレーションを紹介!

お問い合わせは:こちら

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ