資産運用 金融工学

リスクが低ければレバレッジをかけるメリットはあるか?

投稿日:




 

過去記事でS&P500のレバレッジに関して定量的に考察しました。

レバレッジをかけるとリターンの中央値が下がるので、S&P500 (リスク20%・リターン7%)にレバレッジをかけるなら、中央値最大を狙って1.75倍程度が妥当だろう、という結論でした。

もう一度、その根拠を考えてみます。リターン中央値とレバレッジ比率をプロットすると下のように2次曲線を描きます。このとき中央値が最大となるレバレッジ比率は、リターンをリスクの2乗で割った値と等しくなります。

最適レバレッジ比率 = (リターン) / (リスク)x(リスク)

ここでもし、リターンを維持したままリスクだけを下げるとどうなるか?考えてみます。すると、リスクは最適レバレッジ比率式の分母なので、リスクが下がれば最適レバレッジ比率は増えます。すると、高いレバレッジをかけられそうです。

リターンを20%に維持してリスクだけを低下させた場合の最適レバ比率、20年後リターン中央値、元本割れ確率をまとめたのが下の表です。

仮にリスクを15%まで低下できた場合、シャープレシオは0.47。このとき最適レバ比率は3倍まで上昇し、20年後リターン中央値は約5倍です。レバレッジをかけた際に一番きになるのは元本割れ確率ですが、20年後元本割れ確率は19%程度でした。(ちなみにレバなしでリスク20%のときは元本割れ確率13%)

下の表は20年後リターン中央値とシャープレシオの関係です。

リターンを維持したままリスクだけを下げるなんて出来るのか?と思えますが、完全にリターンを維持するのが無理でもリスクを大きく手段はありそうです。その一つが過去記事で書いたS&P500+ゴールドの組み合わせです。

米国株と金の価格変動の相関係数は低く、金のリターンも過去20年程度で見れば360%程度上昇しています。(ETF GLDベース)

レバレッジETFに関してはリスク(価格変動)が大きすぎる点、運用コストが見えない点で個人的に距離を置いていました。もし、ゴールドを加えてリスクを大きく抑えてかつ運用コストを大きく上回るリターンを得られるのであれば、検討に値すると考えています。

 

参考:

【レビュー】ライフサイクル投資術を図解しながら読み解いていく。

米国株50%+金50%ポートフォリオでリスクを下げられるか?

 

記事が役に立ったらクリックお願いします↓

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

-資産運用, 金融工学

執筆者:

関連記事

S&P500の積立投資でリターンの確率分布をどう計算するか?

  過去記事でS&P500のリターンの確率分布をグラフ化したものを紹介しました。 S&P500指数がリスク20%・リターン7%の幾何ブラウン運動に従うと仮定、その際のリターンの確率分 …

暴落を取り入れたS&P500投資シミュレーションの方法。幾何ブラウン運動+ジャンプ過程。

  過去記事で書いたように、S&P500投資シミュレーションに暴落の効果を取り入れたシミュレーションをやってみます。 そのモチベーションは過去記事で書いたように、現実世界では暴落が発 …

オルカンは本当にS&P500より分散されているのか? (米国指数 vs 米国除く全世界指数)

  オルカンはS&P500より本当に分散されているのか? 答えはYes。オルカンが米国含め全世界を対象としている以上、地域の観点では分散されています。 でも「ポートフォリオとして分散 …

資産運用で何に投資するかはIRR(内部収益率)を比較して決めるのが基本です

  十分な資金が手元にあって何か投資をしたいとき、何に投資をするべきか?それをどのように意思決定するべきか? 例えばある企業が太陽光発電事業に参入するとして2つのケースから選ぶ必要があるとし …

S&P500投資でFIREするのにいくら必要かを破産確率で明らかにする。

  「S&P500に6000万円投資してFIREしたときの破産確率をシミュレーションした。」のシミュレーションで分かった結果は、次の通り。 仮に40歳でFIREするとして、6000万 …

サラリーマンが全資産の95%をインデックスファンド(S&P500・オルカン)で運用中。2024年に億り人達成!ブログで様々な投資シミュレーションを紹介!

お問い合わせは:こちら

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ