金融工学

S&P500の積立投資でリターンの確率分布をどう計算するか?

投稿日:2021年9月11日 更新日:




 

過去記事でS&P500のリターンの確率分布をグラフ化したものを紹介しました。

S&P500指数がリスク20%・リターン7%の幾何ブラウン運動に従うと仮定、その際のリターンの確率分布は下の通りです。

このグラフは言うまでもなく初年度に一括投資した際のリターンの分布の変化を示しています。

では毎年同じ金額を積み立て投資するとどうなるか?

積み立て投資とは、初年度に10万円投資し、次年度に10万円投資し、3年目に10万円投資し、・・・を繰り返していく方法。

20年間つみたて投資するとは、

(1) 1年目に投資した10万円は20年間市場に晒し、

(2) 2年目に投資した10万円は19年間市場に晒し、

・・・

(3) 20年目に投資した10万円は1年間市場に晒す。

というわけです。

 

Sponsored Link



 

これを考慮すると、20年間定額つみたて投資したリターンの確率分布は、上の確率分布の和をとったものだと捉えることが出来ます。

なぜならこう考えればよいから。

(1) 1年目に投資した分は20年後に青いカーブを描く。

・・・

(2) 11年目に投資した分は10年後に黄色いカーブを描く。

・・・

(3) 20年目に投資した分は1年後にオレンジのカーブを描く。

 

一般的に「一括投資より積立投資の方がリスクを低下させることができる」と言われます。

この定説に従えば、20年間投資するケースを考えると、積立投資ケースは一括投資ケース (上の青いカーブ)よりも分布の幅が狭いはずです。

というわけで積み立てケースの計算結果は次の記事で。

 

関連記事:

S&P500に「72の法則」を適用して「10年後に元本2倍」のウソを確率分布で説明する。

 

 

Twitterでブログ記事の更新通知を受け取れます:

 

記事が役に立ったらクリックお願いします↓

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

-金融工学

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

S&P500の積立投資と一括投資のリスクを確率分布の形状から定量的に比較する。

  前回の記事の続きです。 オレンジ:一括投資で20年間放置したリターンの分布 青色:20年間定額つみたて投資したリターンの分布 積み立てケース (青色)の分布の広がりは一括ケース (オレン …

資産運用で何に投資するかはIRR(内部収益率)を比較して決めるのが基本です

  十分な資金が手元にあって何か投資をしたいとき、何に投資をするべきか?それをどのように意思決定するべきか? 例えばある企業が太陽光発電事業に参入するとして2つのケースから選ぶ必要があるとし …

「72の法則」をリスク資産に適用するのは正しいのか?リターンの確率分布の観点から検証。

  資産運用するときに「72の法則」は元本を2倍にするための投資期間を計算できる法則です。以下は野村証券のサイトから引用。 金融商品に投資する際に、金利の複利効果により元本を2倍にする場合の …

米国S&P500を平均リターン7%・リスク20%の幾何ブラウン運動でモデル化する理由。

  私のブログでは米国S&P500を年率平均リターン7%、リスク20%と仮定して将来のトータルリターンや元本割れ確率を分析しています。 この年率リスクとリターンは過去の実績から計算し …

なぜリスクが高いとリターンの中央値が下がるのか?を定量的に説明する。

    過去記事からの引用。 下のグラフは1年後のリターンの確率分布を示したもの。リスクを変化させていくと分布の計上がどう変わるかを示したものです。 グラフをみて分かる通り、リター …

 

都内在住の30代サラリーマンです。全資産の95%をインデックス投資で運用しています。2024年3月に1億円を突破。S&P500とオルカンで運用中。NISAとiDeCoをフル活用。

お問い合わせは:こちら

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ