金融工学

S&P500を積み立て投資したリターンの確率分布の形状からリスク低減を理解する。

投稿日:2021年9月13日 更新日:




 

前回の記事の続きです。

S&P500に一括投資したリターンの確率分布と、毎年定額つみたて投資した際のリターンの確率分布はどう違うか?

積み立て投資した際のリターンの確率分布の計算方法は次の通りでした。

20年間定額つみたて投資したリターンの確率分布は、一括ケースの毎年の確率分布の和をとったものだと捉えることが出来ます。

なぜならこう考えればよいから。

(1) 1年目に投資した分は20年後に青いカーブを描く。

・・・

(2) 11年目に投資した分は10年後に黄色いカーブを描く。

・・・

(3) 20年目に投資した分は1年後にオレンジのカーブを描く。

 

Sponsored Link



 

というわけで計算した結果がコチラ。

オレンジ:一括投資で20年間放置したリターンの分布

青色:20年間定額つみたて投資したリターンの分布

※合計投資金額は同じとしています。

比較して分かる通り、積み立てケース (青色)の分布の広がりは一括ケース (オレンジ)の分布の広がりよりも小さくなっています。

広がりのイメージはした図を参照。

つまり何が言いたいかというと、

積立投資することで一括投資よりもリスク (価格変動の大きさの度合い)が低減できていることをこのグラフを見れば分かるということです。

分布の広がりが小さくなるのは分かるけど、リスクの低下は定量的にはどう評価できるのよ?と思うのはごもっとも。

次回の記事で解説します。

関連記事:

S&P500に「72の法則」を適用して「10年後に元本2倍」のウソを確率分布で説明する。

 

記事が役に立ったらクリックお願いします↓

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

-金融工学

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

S&P500つみたて投資は一括投資より元本割れしやすい理由を数字で説明する。

  前回の続きです。 一括投資と比べてつみたて投資って何がありがたいのか?と聞かれれば、リスクを減らせるのがイイ!というのがザックリした(よくある)答えです。 ただし、この点はもう少し深堀す …

S&P500で30年後に資産1億円を築く方法とその達成確率

  投資すると資産1億円がマイルストーンです。インデックス投資であれば、資産1億円を築く具体的な方法を計算で見積もれます。 インデックスファンドのリスク(価格変動)を無視すれば年利回りと年間 …

S&P500の最適レバレッジは1.75倍。SPDRとSPXLを10:6で混ぜれば作れる。

  前回の記事でS&P500の最適レバレッジは1.75倍だと説明しました。レバレッジを大きくすればするほどリターン分布の中央値が大きくなりますが、ある閾値を境に中央値は下がります。そ …

「下がったら買う」は意味あるか?を定量的に検証する。

  投資信託を長期積立投資する際に、毎月定額積み立てるドルコスト平均と、株価が下がってから買う方法、どちらのリターンが高いのか? これは私も非常に興味がある問題だったので検証してみます。以下 …

「72の法則」をリスク資産に適用するのは正しいのか?リターンの確率分布の観点から検証。

  資産運用するときに「72の法則」は元本を2倍にするための投資期間を計算できる法則です。以下は野村証券のサイトから引用。 金融商品に投資する際に、金利の複利効果により元本を2倍にする場合の …

サラリーマンが全資産の95%をインデックスファンド(S&P500・オルカン)で運用中。2024年に億り人達成!ブログで様々な投資シミュレーションを紹介!

お問い合わせは:こちら

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ