金融工学

S&P500長期リターンの確率分布の変化を可視化する。

投稿日:2021年9月9日 更新日:




 

S&P500指数がリスク20%・リターン7%の幾何ブラウン運動に従うと仮定、その際のリターンの確率分布を図示してみます。

幾何ブラウン運動の式は過去記事を参照。

下のグラフは20年間投資する場合のリターンの確率分布の変化を示しています。

オレンジ色: 1年後

黄色: 20年後

青色:30年後

それ以外は灰色です。

青色の確率分布の形状を見ると高リターン側に長く裾が広がっていることが分かります。これは高リターンを得る確率がゼロではなく数%あるから。

この高リターン側の裾の存在が、長期投資で高リターンを得られる可能性があることの根拠です。

 

Sponsored Link



 

確率の上限値を変えてグラフを拡大してみます。

さらに拡大。

10年後と20年後の確率分布の曲線がリターン3倍のあたりでクロスしていることが分かります。

ちなみにリターンが3倍を超える確率は、リターンが3倍より右側の曲線の下の部分の面積に等しい。

つまり、リターンが3倍を超える確率は10年後よりも20年後の方が大きいということです。(まあ当たり前ですが)

年数が経過するにつれて2倍を超える確率、3倍を超える確率、・・・はどのように推移するかは次の記事で紹介します。

 

関連記事:

S&P500に「72の法則」を適用して「10年後に元本2倍」のウソを確率分布で説明する。

 

 

Twitterでブログ記事の更新通知を受け取れます:

 

記事が役に立ったらクリックお願いします↓

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

-金融工学

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

3倍レバレッジを一括の代わりに積立投資にしても平均値と中央値の乖離を防げない理由。

  読者様からレバレッジに関する過去記事について質問を頂きました。 記事の内容を要約すると、「S&P500の最適レバレッジは1.75倍。それを越えるレバレッジをかけるとリターンの中央 …

S&P500インデックス投資でFIREできるか?を破産確率で検証する。

  「S&P500インデックス投資でFIRE (早期退職)できるか?」は個人的にとても気になるテーマです。 「できる派」の唯一の定量的な根拠は有名な4%ルールですが、「4%ルール」は …

S&P500の最適レバレッジは1.75倍。SPDRとSPXLを10:6で混ぜれば作れる。

  前回の記事でS&P500の最適レバレッジは1.75倍だと説明しました。レバレッジを大きくすればするほどリターン分布の中央値が大きくなりますが、ある閾値を境に中央値は下がります。そ …

投資でよく出てくる単語「リスク許容度」を分かりやすく説明する。

    前回の記事では、リスクが大きいとリターンが高くなるチャンスも増えるが、同時に元本割れする確率も増えることを確率分布で説明しました。 (1)リターン7%・リスク20%:元本割 …

S&P500 2倍レバレッジは暴落に弱いか定量的に分析する。幾何ブラウン運動+ジャンプ過程。

  過去記事で紹介した、暴落を取り入れた幾何ブラウン運動のシミュレーションをS&P500の2倍レバレッジに適用してみます。 2倍レバレッジは名著「ライフサイクル投資術」でも「レバレッ …

都内在住の30代サラリーマンです。資産の95%をインデックス投資で運用しています。2024年3月に資産1億円を超えました。

このブログではインデックス投資の利点、運用シミュレーションや金融工学の記事を公開していきます。

趣味はミニベロ

お問い合わせは:こちら

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ