資産運用

FIREするなら最低1.5億円は必要 (S&P500投資+年2%物価上昇の場合)

投稿日:2023年11月19日 更新日:




 

前回の記事では、物価上昇を考慮すると資産1億円でFIREしたとして40年後に破産する確率は50%を超えることを紹介しました。ちなみにこの前提条件は、

・S&P500に全額投資

・リターン7%・リスク20%

・株価は幾何ブラウン運動する

・暴落はなし

・毎年引き出し額は2%増加 (物価上昇を踏まえて)

・初年度は400万円を取り崩して現金化(税金引くと320万円が手元に残る。物価上昇で次年度以降に取り崩す額は増える)

・40年以内に資産がゼロ未満になることを「破産」と称す

・破産確率の計算方法は過去記事を参照

 

この記事では、具体的に資産いくらでFIREすれば安全なのか?を見てみます。何を以て「安心」と定義するかは投資家のリスク許容度によりますが、ここでは「破産確率が10%未満」を安全と判断できる条件とします。FIRE時の保有資産と初年度引き出し額をまとめたのが以下の表です。

緑色で塗った部分が10%未満なので「安全」条件を満たしています。具体的には:

(1)初年度200万円引き出し:資産1.5億円必要

(2)初年度300万円引き出し:資産1.5億円以上、かつFIRE期間30年以内

(3)初年度400万円引き出し:資産2億円以上、かつFIRE期間30年以内

 

毎年いくら引き出すか?は投資家の生活水準によりますが、一般的な家庭であれば年間240万円は必要でしょう。すると、初年度300万円引き出せば、税金20%を除いて240万円になります。(次年度以降の生活費は2%ずつ増えていきます)

この場合、上のケース(2)が該当します。つまり、資産は1.5億円以上必要です。FIRE期間が30年であれば破産する確率は10%未満に抑えられますが、40年だと19%まで上がるので「安全」条件は満たせません。

ここである疑問が生じます。資産1.5億円もあるならFIREする時点で全部現金化してはどうだろうか?と。この場合、1.5億円のファンドを売却したら20%の税金を引いて1.2億円。初年度240万円の生活費が毎年2%増えると仮定して30年間の合計が約1.0億円。まだ2000万円余ります。

もし、「もう資産は増えなくていい、リスクはとりたくない、毎月20万円で過ごせる自信がある、30年後には涅槃の領域に達する」と予想するなら、ファンドを全部売って現金化した方がリスクは少ないです。

 

おすすめ記事:

資産1億円でFIREしても年2%物価上昇で破産する確率は50%超える (S&P500投資の場合)

S&P500に6000万円投資してFIREしたときの破産確率をシミュレーションした結果。

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都内在住JTC勤務の30代サラリーマンです。全資産の95%をインデックス投資で運用しています。2024年3月に1億円を突破。世界経済の継続的成長を願いS&P500とオルカンで運用中。NISAとiDeCoをフル活用。

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