資産運用

資産1億円でFIREしても年2%物価上昇で破産する確率は50%超える (S&P500投資の場合)

投稿日:2023年11月11日 更新日:




 

以前の記事40歳でFIREするとして、6000万円を90歳まで取り崩しながら生活すると仮定すれば、40%の確率で破産する」というシミュレーションをしました。この際に引き出す額は毎年240万円でした。

ある年に収入が途絶えたとして、一定期間後に資産がゼロになる確率を破産確率と呼んでいます。破産確率の前提モデルは以下の通り。

・S&P500に全額投資

・リターン7%・リスク20%

・株価は幾何ブラウン運動する

・暴落はなし

引き出し額は定額としていましたが、よく考えると物価上昇を考慮した方がより現実に近づくと思ったのでモデルを修正します。つまり、

・毎年引き出し額は2%増加 (物価上昇を踏まえて)

という条件を追加します。

 

まずは、物価上昇を考慮しない場合の破産確率を再掲します。

次に、物価上昇を加味した破産確率を示します。

仮に6000万円でFIREし、初年度に300万円引き出し、2年目以降は2%引き出し額を増額すると仮定します。ちなみに税金20%引かれるので、初年度に使える額は240万円 (月額20万円に相当)。この場合、

40年後の破産確率は68% (物価上昇なければ47%)

なかなかシビれる結果です。

ちなみに1億円あれば余裕でFIREできそうな気もしますが、初年度400万円引き出し、2年目以降は2%増額する場合 (初年度に使える額は税引き後320万円)、

40年後の破産確率は54% (物価上昇なければ40%)

です。

下のグラフは、資産1億円でFIREした際の40年後の破産確率をまとめたものです。

ちなみに、以前「FIREした後だって収入ゼロにはならんだろ」というコメントをもらいました。仮に初年度生活費を年間300万円とすると、月間120万円を細々と稼ぐとして、残りは資産の取り崩し (200万円売却、税引き後180万円受け取り)で考えればよいでしょう。この場合、上のグラフによると、物価上昇を加味すると破産確率は18%なので、まあまあ高いです。

 

おすすめ記事:

 

S&P500に6000万円投資してFIREしたときの破産確率をシミュレーションした結果。

たった資産5000万でFIREしたらほぼ確実に失敗する理由。

 

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

-資産運用

執筆者:

関連記事

投資本買うより「ファイナンス理論入門」をすすめる理由。

  本屋で投資関係の本をさーっと立ち読みした中でも、冨島佑允氏のファイナンス理論入門はとびぬけた良書だと思ってます。ちなみに本書は購入済み。 とにかく知性が滲み出ています。数字の裏付けがない …

TECLとTQQQのレバレッジ3倍は高すぎるのか?最適レバと比較すると全然高くなかった。

  前回の記事ではS&P500の最適レバレッジが1.75倍であることを紹介しました。ポイントだけ再掲します。 (1) ポートフォリオにレバレッジをかけるとリスクとリターンが高くなる。 …

S&P500年率リターンのサイクル周期は3~4年

  前回の記事でS&P500の1年リターンの変動を見てみました。これは1950年1月以降のデータを使って1年リターン[%]を算出したものです。 このデータを加工して、1年リターンの1 …

恐るべきS&P500投資「4%ルール」

  過去記事で「4%ルール」を紹介しました。「4%ルール」のおさらいです。 ・毎年、資産運用額の4%未満を生活費として切り崩していれば、30年以上が経過しても資産が尽きる確率は非常に低い。 …

自分の稼ぐ力を計算する方法

  人間の稼ぐ力を言い換えると「人間の将来にわたってキャッシュフローを生む出せる能力」です。これは不動産を考えると分かりやすいです。長期間にわたって安定して多くの家賃収入が見込める不動産は稼 …

サラリーマンが全資産の95%をインデックスファンド(S&P500・オルカン)で運用中。2024年に億り人達成!ブログで様々な投資シミュレーションを紹介!

お問い合わせは:こちら

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ




S