資産運用 金融工学

ゼロで死ぬためのインデック投資法 (入金と売却の具体的な方法)

投稿日:2023年12月2日 更新日:




 

前にDIE WITH ZERO (ゼロで死ぬ)という本が話題になりました。「人生が豊かになりすぎる究極のルール」という薄っぺらい副題を見て「あっ・・・そういうのいいです・・・」と立ち読みすらやめたのですが(笑)、「死ぬときに資産ゼロで人生終わらせる」というアイディア自体は私も賛成です。

インデックスファンドに長期投資すればある程度の資産を築けると私は信じていますが、築いた資産の崩し方も考えないといけない。それが「投資」だけに視点を限らない「人生設計」だと思うのです。

仮に20年間毎月5万円 (年間60万円)を投資するとして、利回り7% (S&P500を想定) とすれば20年後のリターンは2632万円。総投資額は1200万円なのでリターンは2.3倍。このまま一括で現金化するのも手ですが、あえてリスク (=ファンドの価格変動)を許容するなら、チョビチョビ現金化する選択肢もあります。

次のケースを考えてみます。

・20年の投資期間は、毎年60万円を投資

・21年目~40年目 (20年間)の引き出し期間は追加投資しない

・引き出し期間は、毎年定額を引き出す

・引き出し期間の最終年度 (40年目)は資産ゼロ

この条件で毎年引き出し額を計算すると、232万です。言い換えると、毎年60万円投資していたのが、毎年232万円で返ってくるということです。

下のグラフはファンドの評価額の推移を示しています。20年目にマックスになり、40年目にゼロです。

同じような検討を、投資期間と引き出し期間を色々変えてまとめたのが下の表です。

倍率は「毎年引き出せる額」を「年間投資額」で割った値です。倍率が一番大きいのは投資期間/引き出し期間が30年/30年の場合で、約9倍もあります。これは総投資期間 が30年+30年=60年もあるのでまあ当然でしょう。

個人的には、「総投資期間は長くあるべき、ただし年取ったら判断力が鈍るからある時期にリスク資産は全売却すべき」という考えなので、30年/20年の組み合わせが自分にあってると思います。その場合、ゼロで死ぬための「倍率」は6.5倍です。

もし毎年60万投資するなら引き出せる額は390万円です。もっと投資して毎年100万円投資するなら650万円も引き出せます。

ただしリスク (=価格変動)を考慮していない計算なので、計算通りの倍率になるわけではないです。数字は目安として使うのがいいでしょう。

 

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

-資産運用, 金融工学

執筆者:

関連記事

S&P500 2倍レバレッジは暴落に弱いか定量的に分析する。幾何ブラウン運動+ジャンプ過程。

  過去記事で紹介した、暴落を取り入れた幾何ブラウン運動のシミュレーションをS&P500の2倍レバレッジに適用してみます。 2倍レバレッジは名著「ライフサイクル投資術」でも「レバレッ …

なぜリスクが高いとリターンの中央値が下がるのか?を定量的に説明する。

    過去記事からの引用。 下のグラフは1年後のリターンの確率分布を示したもの。リスクを変化させていくと分布の計上がどう変わるかを示したものです。 グラフをみて分かる通り、リター …

3倍レバレッジを一括の代わりに積立投資にしても平均値と中央値の乖離を防げない理由。

  読者様からレバレッジに関する過去記事について質問を頂きました。 記事の内容を要約すると、「S&P500の最適レバレッジは1.75倍。それを越えるレバレッジをかけるとリターンの中央 …

今年はインデックス投資と労働で総資産が50%増加。

  2023年も終わり。 今年はS&P500が25%上昇したこともあり、Buy&Holdで資産を大きく増やすことができました。 今日時点でインデックスファンドのリターンは85 …

S&P500を積み立て投資したリターンの確率分布の形状からリスク低減を理解する。

  前回の記事の続きです。 S&P500に一括投資したリターンの確率分布と、毎年定額つみたて投資した際のリターンの確率分布はどう違うか? 積み立て投資した際のリターンの確率分布の計算 …

 

都内在住JTC勤務の30代サラリーマンです。全資産の95%をインデックス投資で運用しています。2024年3月に1億円を突破。世界経済の継続的成長を願いS&P500とオルカンで運用中。NISAとiDeCoをフル活用。

お問い合わせは:こちら

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ