「持ち家」vs「賃貸」は比較され尽くしていると思いますが、ここではより毎月の出費が低いと思われる賃貸派が余った金で資産運用(インデックス投資)するケースを考えてみます。言い換えると、「持ち家」vs「賃貸+資産運用」
従ってこの比較では「持ち家の方が家のデザインの自由度が上がる」とか「賃貸の方が引っ越しする際の負担が小さい」といった個人の好みは検討していません。
ローンを払い終えた後の「資産の大小」のみを比較してみます。ちなみに家はマンションとしています。
「持ち家」の前提条件:
・物件価格:6,000万円
・住宅ローンの返済期間:35年
・金利:固定1.8%
・頭金:なし
・35年後の物件価格:変化なしと仮定
「賃貸」の前提条件:
・年間家賃:180万円 (物件価格6,000万円に利回り3%とした)
・インデックス投資で毎年つみたてる
・積み立て額は「持ち家ケースのローン返済費 – 賃貸ケースの家賃」
・ファンドの年平均リターン:7%
比較結果は次の通り:
「持ち家」ケースは、
・35年間で合計8,050万円のローン返済で出費 (年間230万円)
・35年後には価格6,000万円の家が手元に残る
「賃貸」ケースは、
・35年間で合計6,300万円を家賃で出費 (年間180万円)
・毎年50万円をインデックス投資で運用 (230万円 – 180万円)
・35年後にはファンドの評価額は7,400万円
この結果だけを見ると「賃貸+インデックス年」の方がよさそうに見えますが、前提条件などを少し変えると結果は簡単に変わります。例えば;
・「賃貸」ケースの年間家賃を180万円 (物件価格6,000万円に利回り3%)としたが、240万円 (利回り4%)に上げると、「持ち家」ケースのローン返済額(230万円)を超えるので、運用に回す金自体なくなる。
・「賃貸」ケースのファンド評価額は7,400万円だが、もしも現金に変えたら20%の税金がかかり、現金6,000万円が手元に残る。この場合は「持ち家」ケースと変わらない。
・物件価格が35年間一定という条件は少し攻めすぎているか。仮に価格が落ちるとすると「賃貸」ケースが勝る。(評価額が物件価格を上回っているので)
・「持ち家」ケースは物件購入時に仲介手数料など含めて初期費用が物件価格の4%程度 (240万円相当かかる)。さらに、管理費、修繕積立金、固定資産税あわせて年間50万円程度かかるので、「持ち家」ケースはさらに不利。
これだけ見ると「持ち家」ケースはかなり不利な印象ですが、「賃貸」ケースで一番クリティカルなのは家賃だと分かります。
ちなみに、ローンを払い終えた後では、「持ち家」ケースでは家賃を払う必要がない一方で、「賃貸」ケースでは、まだ家賃を払う必要があります。この年齢になると賃貸契約を断られる可能性があるので、ファンドを売り払ってマンション一括購入もアリかもしれません。