資産運用

S&P500指数をどうやって予測するか? (理論株価と配当割引モデル)

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「来年のS&P500指数は5,000だ!」というアナリスト予想を見ますが、そもそもどうやって予測しているのでしょうか?

指数の予測値が、私が絶賛実行中の「指数連動インデックスファンドつみたて投資」に影響することはありません。理由は「下がったタイミングで指数を買う」法を取っても定額つみたてと結果は大きく変わらないからです。参考:過去記事

とはいえ、株価をどうやって予想しているのか知っておくのは有益なので、いくつかのネット記事を参照しながら見ていきます。

株式の理論価格は以下の式から計算できます。故・山崎元氏のトウシル記事から引用。

・式は配当割引モデル (Devidend Discount Model) (理論価格はその株を持ち続けた場合に将来支払われる配当の現在価値の合計値とする考え方)に基づきます。

・”E”は1株当たりの利益、EPS (Earnings Per Ratio)。

r= (期待インフレ率)+(実質金利)+(リスクプレミアム)。合理的な投資家は、実質金利 (米国10年債利回り)に期待インフレ率とリスクプレミアムを足した割引率を期待すると考えられます。リスクプレミアムは、「リスクフリーの10年債よりもリスク有の株を選ぶことで得られる対価」と考えればよい。

g=(期待インフレ率)+(実質GDP成長率)、つまり名目GDP成長率です。(※DDM式の”g”は正確には配当額の成長率ですが、株価指数を計算する際は、名目GDP成長率を簡便的に使うのが一般的なようです。

すると、指数の理論値を計算するために必要なのは、

・EPS

・米国10年債利回り

・リスクプレミアム

・実質成長率

BlackstoneはEPS米国10年債から指数の理論値を読み取れる表を提供しています。(2023年7月時点)

引用:Blackstone

※表を使う際に「リスクプレミアム」と「実質成長率」を用意する必要はなし。表の下のNoteによると、名目成長率を4%、リスクプレミアムはこの表作成時点での「S&P500株式益利回り」 (1/PER)と「10年国債利回り」の差を使用していると読める。

 

試しに2024年末の「予想EPS」と「予想米国10年債利回り」をこの表に当てはめて指数を予想してみます。

予想EPS: 244 USD (Source: FactSet)

予想米国10年債利回り: 3.98% (Source: Bloomberg)

表から読み取った値:4,555~4,845ポイント。この記事を書いている現時点で4,697ポイントなので、ほぼ横ばいとなる結果です。

正確な数値予想はこの記事の趣旨ではないので、色々な経済指標で理論株価がどう決まるかを、もういちど式を眺めながら締めくくります。

・EPSが上がれば株価も上がる

・インフレ率は影響ない (rとgで相殺されるため)

・実質金利の増加率が実質GDP成長率を上回れば、株価は下がる

・実質金利の増加率が実質GDP成長率を下回れば、株価は上がる

 

割引配当モデルの分かりやすい説明は総裁の本 (第9章)を参照。

他の記事:

逆イールドと景気後退とS&P500指数

「下がったら買う」は意味あるか?を定量的に検証する。

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