金融工学

なぜS&P500 3倍レバレッジが暴落に弱いかを定量的に説明する。幾何ブラウン運動+ジャンプ過程。

投稿日:2021年10月23日 更新日:




 

過去記事で紹介した、暴落を取り入れた幾何ブラウン運動のシミュレーションをS&P500の3倍レバレッジに適用してみます。

ちなみに私が知る限り、S&P500 3倍レバレッジ (SPXL)に対してポアソン分布を用いたジャンプ効果を取り入れたシミュレーションを行った記事や書籍は存在しないので、これはナカナカ面白い検証になると思います。

【予想外】暴落を取り入れたS&P500投資シミュレーションの結果。幾何ブラウン運動+ジャンプ過程。

モデルは前回と同じですがおさらいします。

基本的な株価変動モデルである幾何ブラウン運動に加えて、暴落がポアソン分布に従うと仮定したジャンプ過程を考慮したシミュレーションを行います。このモデルに暴落の効果を取り入れた式は下のようになります。

以下は前提条件です。

年率平均リターン (μ):21% (S&P500を7%と想定。その3倍)

リスク (σ):60% (S&P500を20%と想定。その3倍)

期待暴落回数 (λ):0.1 (10年に1回暴落)

暴落の大きさ (ν):50%

暴落の大きさの標準偏差 (ξ): 5%

投資期間: 20年間

計算は20万回行いました。

 

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以下が結果です。

ジャンプがある場合 (青色)はジャンプがない場合 (オレンジ色)に比べて確率分布全体が低リターン側に寄っていることが分かります。これが両ケースの差 (黒色)を見れば分かりやすいです。

リターン1倍以下の確率、つまり原本割れ確率は次の通り。

ジャンプ (暴落)なし:35%

ジャンプ (暴落)あり:49%

つまり暴落効果を取り入れれば、元本割れ確率は14%もアップしていることが分かります。

一般的にレバレッジをかけると高リターンを得る確率がたかまりますが、暴落を取り入れたらそうなるか?

リターンが2倍以上になる確率:

ジャンプ (暴落)なし:64%

ジャンプ (暴落)あり:37%

 

リターンが3倍以上になる確率:

ジャンプ (暴落)なし:48%

ジャンプ (暴落)あり:29%

 

リターンが4倍以上になる確率:

ジャンプ (暴落)なし:44%

ジャンプ (暴落)あり:23%

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では、S&P500 x 3 (暴落あり)をS&P500 (暴落あり)と比較するとどうなるか?

元本割れ割れ確率:

S&P500 (暴落あり):14%

S&P500 x 3 (暴落あり):49%

 

リターンが2倍以上になる確率:

S&P500 (暴落あり):62%

S&P500 x 3 (暴落あり):37%

 

リターンが3倍以上になる確率:

S&P500 (暴落あり):44%

S&P500 x 3 (暴落あり):29%

 

リターンが4倍以上になる確率:

S&P500 (暴落あり):31%

S&P500 x 3 (暴落あり):23%

S&P500 3倍レバレッジ (暴落あり)とレバなし(暴落あり)を比べると、3倍レバレッジの元本割れ確率の高さとリターンを得る確率の低さが際立ちます。

確かに3倍レバレッジは高いリターンを得る確率が高まるわけですが、そこに暴落の効果を考慮すると、その高リターン効果が弱まってしまうのです。

このように、通常の幾何ブラウン運動モデルでは再現できない暴落をモデルに組み込むと、3倍レバの危険性がよく分かります。

というわけで私なら3倍レバレッジはやりませんね。

 

ちなみに、20年間の暴落回数をシミュレーションした結果を示します。ジャンプ回数が2回未満となる確率がおよそ80%となることが分かります。

関連記事:

【衝撃】レバレッジはリターンの中央値を下げる【金融工学】

【予想外】暴落を取り入れたS&P500投資シミュレーションの結果。幾何ブラウン運動+ジャンプ過程。

 

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