金融工学

S&P500 2倍レバレッジは暴落に弱いか定量的に分析する。幾何ブラウン運動+ジャンプ過程。

投稿日:2022年1月22日 更新日:




 

過去記事で紹介した、暴落を取り入れた幾何ブラウン運動のシミュレーションをS&P500の2倍レバレッジに適用してみます。

2倍レバレッジは名著「ライフサイクル投資術」でも「レバレッジかけるならマックスでも2倍程度が限度」と言及されるほど、「いい塩梅」のレバレッジ比率です。

ちなみに私が知る限り、S&P500 レバレッジに対してポアソン分布を用いたジャンプ効果を取り入れたシミュレーションを行った書籍は存在しないので、これはナカナカ面白い検証になると思います。ちなみにレバなし、3倍レバレッジの結果は以下の記事を参照。

【予想外】暴落を取り入れたS&P500投資シミュレーションの結果。幾何ブラウン運動+ジャンプ過程。

なぜS&P500 3倍レバレッジが暴落に弱いかを定量的に説明する。幾何ブラウン運動+ジャンプ過程。

モデルは前回と同じですがおさらいします。

基本的な株価変動モデルである幾何ブラウン運動に加えて、暴落がポアソン分布に従うと仮定したジャンプ過程を考慮したシミュレーションを行います。このモデルに暴落の効果を取り入れた式は下のようになります。

以下は前提条件です。

年率平均リターン (μ):14% (S&P500を7%と想定。その2倍)

リスク (σ):40% (S&P500を20%と想定。その2倍)

期待暴落回数 (λ):0.1 (10年に1回暴落)

暴落の大きさ (ν):50%

暴落の大きさの標準偏差 (ξ): 5%

投資期間: 20年間

計算は20万回行いました。

如何結果です。S&P500 x2 (暴落あり)をS&P500 (暴落あり)と比較するとどうなるか?

元本割れ割れ確率:

S&P500 (暴落あり):18%

S&P500 x2 (暴落あり):25%

 

リターンが2倍以上になる確率:

S&P500 (暴落あり):64%

S&P500 x2 (暴落あり):62%

 

リターンが3倍以上になる確率:

S&P500 (暴落あり):50%

S&P500 x2 (暴落あり):54%

 

リターンが4倍以上になる確率:

S&P500 (暴落あり):40%

S&P500 x2 (暴落あり):48%

S&P500 2倍レバレッジ (暴落あり)とレバなし(暴落あり)を比べると、2倍レバレッジの元本割れ確率の高さが目立ちますが、その差は7%程度です。まあ、それほど大きくはないかなって感じですかね。ただしリターン4倍以上になる確率は2倍レバの方が高くなります。

つまり何が分かるかというと、

(1) 2倍レバだと元本割れ確率は7%程度高いが、

(2) リターン4倍以上の確率はレバなしより高い。

ここまで見て私の感想は;

元本割れ確率もそれほど高くないし2倍レバレッジは悪くないな~です。

これまで、暴落シミュレーションはレバなし、レバ2倍、レバ3倍で検証したので、結果を別記事でまとめたいと思います。

関連記事:

【予想外】暴落を取り入れたS&P500投資シミュレーションの結果。幾何ブラウン運動+ジャンプ過程。

なぜS&P500 3倍レバレッジが暴落に弱いかを定量的に説明する。幾何ブラウン運動+ジャンプ過程。

記事が役に立ったらクリックお願いします↓

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

-金融工学

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

シャープレシオが最大になるのは効率的フロンティア曲線上の接点ポートフォリオ。

  前回の記事では、WealthNaviの資料をもとにエクセルのソルバーを使って効率的フロンティア曲線を作成しました。 効率的フロンティア曲線は、各リスクに対してリターンが最も高いポートフォ …

S&P500の積立投資と一括投資のリスクを確率分布の形状から定量的に比較する。

  前回の記事の続きです。 オレンジ:一括投資で20年間放置したリターンの分布 青色:20年間定額つみたて投資したリターンの分布 積み立てケース (青色)の分布の広がりは一括ケース (オレン …

S&P500リターンの確率分布から分かるリターン5倍以上の確率。

  前記事からの続きです。 S&P500指数がリスク20%・リターン7%の幾何ブラウン運動に従うと仮定、その際のリターンの確率分布は下の通りです。 確率分布の形は分かったと。ではリターンが2 …

ゼロで死ぬためのインデック投資法 (入金と売却の具体的な方法)

  前にDIE WITH ZERO (ゼロで死ぬ)という本が話題になりました。「人生が豊かになりすぎる究極のルール」という薄っぺらい副題を見て「あっ・・・そういうのいいです・・・」と立ち読み …

リスクが低ければレバレッジをかけるメリットはあるか?

  過去記事でS&P500のレバレッジに関して定量的に考察しました。 レバレッジをかけるとリターンの中央値が下がるので、S&P500 (リスク20%・リターン7%)にレバレッ …

都内在住の30代サラリーマンです。資産の95%をインデックス投資で運用しています。2024年3月に資産1億円を超えました。

このブログではインデックス投資の利点、運用シミュレーションや金融工学の記事を公開していきます。

趣味はミニベロ

お問い合わせは:こちら

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ