私が現代ポートフォリオ理論に興味を持ったのがインデックス投資を始めてしばらくしてからです。
インデックス投資を始める前に読んだいくつかの書籍には、「インデックス投資が最も効率的な投資であることには理論的な裏付けがあって、その理論こそが現代ポートフォリオ理論だ」という説明がいくつかの書籍でされていたから。
理論を知ってから投資を実践するのが本来の手順なのかもしれませんが、実践してから理論を学ぶと言う逆の手順をとるのもアリだろう、または教養として理論を知っておきたい、というのが動機で少しずつ調べ始めたのです。
現代ポートフォリオ理論は株や債券などで構成されるポートフォリオのリスクとリターンを研究するための理論です。
この理論の面白いところは、株や債券の割合を色々と変えることで、ポートフォリオ全体のリスクとリターンがどのように変わるかをリスク-リターン平面上で視覚的に表現することができる点です。
あらゆる株や債券を様々な割合で組み合わせたポートフォリオをリスク-リターン平面上で表現した曲線を調べていくとある結論が出ます。
それが、最も効率的なポートフォリオは時価総額加重平均株価指数である、という結論です。効率的とはつまり、小さいリスクで大きなリターンを得るということ。
(ただし、これが成立するためにはいくつかの条件があります。その一つが「全ての投資家が全ての金融資産の収益率の平均と分散について同じ予想をする」です。)
この現代ポートフォリオ理論がなぜ魅力的なのかといえば、結論が恐ろしくシンプルだから。世界に何千何万という金融資産があって、それらの組み合わせも考えれば莫大な数の組み合わせのポートフォリオを組めます。
でも一番効率が高いポートフォリオは金融資産を時価総額加重平均したものだというシンプルな結論に落ち着くのは、私にとって衝撃的でした。
あれこれ個別銘柄を分析しなくてもインデックスファンドに投資するのが効率的だという実務をシンプルにするという観点からは間違いなく魅力的です。ですが、それ以上に理論の美しさに注目すべきでしょう。
思えば、たくさんの要素を記述する式というものは他にもたくさんあります。例えば運動する何兆もの粒子から構成される気体の温度と圧力の関係は、状態方程式という単純な方程式で記述できます。これと似た匂いがします。
途方に暮れるほど多くの要素を扱っているのに結論は極めてシンプル。だから現代ポートフォリオ理論は魅力的なんです。
現代ポートフォリオ理論のエッセンスは各回に分けて解説していきます。
現代ポートフォリオ理論シリーズ:
参考文献:
投資と金融がわかりたい人のためのファイナンス理論入門:
難解な数式なしで現代ポートフォリオ理論の概要を掴むにはこの本が一番わかりやすいです。
ファイナンス理論全史:
現代ポートフォリオ理論がどのように成立してきたか、理論の結果と実際の乖離を説明するために提唱された行動ファイナンスも紹介されています。面白いので一気に読んでしまえます。
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金融工学入門
記事では難しい数式は割愛していますが、数式まで踏み込みたい人にはこの本を薦めます。初歩的な微分積分や行列計算ができれば読めます。例題が豊富。
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