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「下がったら買う」は報われない。(タイミング投資 VS ドルコスト平均)




 

前回の続きです。

「下がったら買う」は意味あるか?を定量的に検証する。

投資信託を長期積立投資する際に、毎月定額積み立てるドルコスト平均と、株価が下がってから買う方法、どちらのリターンが高いのか?

前回の前提条件は、「株価が前月比n%下落したら5万円投資、しなければ5万円は投資せずに現金で保有しておく」でした。この場合、30年後の資産を比較すると、「下がったら買う」戦略は毎月定額 (ドルコスト平均)にボロ負けででした。理由は、「下がったら買う戦略」だと、リスクに晒せる資産が激減するからです。

そこで“改良版”「下がったら買う」戦略を取ることにします。この戦略では、n%下落時の投資額を増額することで、30年間の総投資額をドルコスト平均と一致させます。

この場合の前提条件は;

(1) S&P500連動ファンドを想定。年率リスクとリターンはそれぞれ20%と7%とする。

(2) 株価は幾何ブラウン運動すると仮定、モンテカルロでシミュレーション。

(3) ドルコスト平均法では、毎月5万円を積み立てる。

(4) 「下がって買う」ケースでは、前月比n%下落したらX万円投資し、下落しなければ投資しない。n=1%、2%、3%、4%下落のケースを考える。

(5) 30年後の評価額を比較する。

“改良版”「下がったら買う戦略」で、n%下落時の投資額は、30年間の総投資額が1800万円となるように設定します。例えば、2%下落ルールの場合、145回投資チャンスがあるため、1回の投資額は1800万円÷145=12.4万円です。他のルールでも同様です。

2%下落ルールとドルコスト平均の、30年後資産の分布を比較したのが以下のグラフです。分布はほぼ一致しているのが分かります。

ドルコスト平均とn%ルールに関して、資産分布の平均値と中央値を比較した結果をまとめたのが以下の表です。ほとんど変わりないことが分かります。

前回の結果とあわせて、「n%下落したら売る戦略」とドルコスト平均を比較した結果をまとめます。

「n%下落したら売る戦略」をドルコスト平均を比較すると;

(1) 総投資額を一致させた場合、30年後資産にほぼ差はない。

(2) 総投資額を一致させない場合、現金比率が高くなるめ、30年後の資産はボロ負け。

この考察で分かったことは、株価が幾何ブラウン運動に従うと仮定すれば、下落タイミングを計って投資するのは無駄な労力、ということです。

では「50%暴落時に一気に投資したらどうなる?」という疑問も出てきます。幾何ブラウン運動にジャンプ項を入れた少し高度な計算をやれば検証できますが、非常に複雑になるのでやめておきます。

50%暴落なんてめったにないイベントだし、仮に「50%暴落しなければ投資しない」戦略を実践したとすると、いつで経っても手元に現金が積みあがるばかりなので、あまり効果がないと想像しています。

結論:タイミング投資は時間の無駄。タイミング図る暇があったら、もっと有益なことに時間を使いましょう。

 

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