前回の記事では、物価上昇を考慮すると資産1億円でFIREしたとして40年後に破産する確率は50%を超えることを紹介しました。ちなみにこの前提条件は、
・S&P500に全額投資
・リターン7%・リスク20%
・株価は幾何ブラウン運動する
・暴落はなし
・毎年引き出し額は2%増加 (物価上昇を踏まえて)
・初年度は400万円を取り崩して現金化(税金引くと320万円が手元に残る。物価上昇で次年度以降に取り崩す額は増える)
・40年以内に資産がゼロ未満になることを「破産」と称す
・破産確率の計算方法は過去記事を参照
この記事では、具体的に資産いくらでFIREすれば安全なのか?を見てみます。何を以て「安心」と定義するかは投資家のリスク許容度によりますが、ここでは「破産確率が10%未満」を安全と判断できる条件とします。FIRE時の保有資産と初年度引き出し額をまとめたのが以下の表です。
緑色で塗った部分が10%未満なので「安全」条件を満たしています。具体的には:
(1)初年度200万円引き出し:資産1.5億円必要
(2)初年度300万円引き出し:資産1.5億円以上、かつFIRE期間30年以内
(3)初年度400万円引き出し:資産2億円以上、かつFIRE期間30年以内
毎年いくら引き出すか?は投資家の生活水準によりますが、一般的な家庭であれば年間240万円は必要でしょう。すると、初年度300万円引き出せば、税金20%を除いて240万円になります。(次年度以降の生活費は2%ずつ増えていきます)
この場合、上のケース(2)が該当します。つまり、資産は1.5億円以上必要です。FIRE期間が30年であれば破産する確率は10%未満に抑えられますが、40年だと19%まで上がるので「安全」条件は満たせません。
ここである疑問が生じます。資産1.5億円もあるならFIREする時点で全部現金化してはどうだろうか?と。この場合、1.5億円のファンドを売却したら20%の税金を引いて1.2億円。初年度240万円の生活費が毎年2%増えると仮定して30年間の合計が約1.0億円。まだ2000万円余ります。
もし、「もう資産は増えなくていい、リスクはとりたくない、毎月20万円で過ごせる自信がある、30年後には涅槃の領域に達する」と予想するなら、ファンドを全部売って現金化した方がリスクは少ないです。
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