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米国はイノベーションを起こす土壌がない??

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米国はイノベーションを起こす土壌がない?と聞くと驚きを感じますが、そんな土壌がかつてより失われつつあるという主張をけっこう見つけることができます。

中野剛志氏の「新説・企業論」という新書のAmazonレビュー欄を見ていると、面白いコメントが書かれていました。この本の内容は次の通り。

アメリカに学んではいけない。アメリカの開業率は30年間で半減、シリコンバレーの成功は強力な軍事産業のおかげ、ベンチャー・キャピタルはイノベーションの役に立たない、官僚主導のアメリカ型コーポレート・ガバナンス改革が日本企業を短期主義化させた、日本経済の長期停滞はアメリカ型の企業改革・金融構造改革が本当の原因。最強の論客による経営の本質論。

で、私が面白くて説得力があるなと思ったコメントはアメリカのIT企業に勤めている方のコメントでした。

アメリカのIT企業に勤めています。巷ではアメリカ企業の働き方や組織の在り方が素晴らしいと賞賛されることもあるようですが、個人的には以下の理由で全く良いと思いません。

(1) 人事評価の際、グローバルで比較する必要があるため、数値化できたものしか評価の対象にならない。暗黙知が育たない。

(2) 短期的な指標しか見ておらず、更に「変化しない事は悪」という考え方が強すぎるため、無意味な組織再編や組織内の変更が度々行われる。無駄に高給取りな経営陣や管理職はあまりにも短期で入れ替わるため、そもそも誰も長期的な展望を持った経験がない。

(3) 夕方早くに家に帰る人は多いが、結局夕食後に仕事をしている人間が多い。有給中でもメールを返してくるアメリカ人は多く、仕事が出来る人間は日本の事を全く笑えないほど働いている。

(4) 自らがイノベーションを起こす土壌は感じられず、自社開発よりも、成功した製品を作った企業を買収する方が圧倒的に多い。

個人的に、アメリカのIT企業が成功したのは文化的な相性の良さ(完璧に仕上げるのではなく適当なところで済ませる)と、英語人口の多さによるオフショアのしやすさと、国家間の力関係くらいに考えていましたが、本書を読んでスッキリしました。

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(1)の評価方法と(3)のハードワーキングは私の感覚に合ってましたが、私が驚いたのは (4)ですね。「イノベーションを起こす土壌が感じられない。」えっ?そうなの?シリコンバレーではイノベーションが起きまくっているって(ネットで)よく聞きますけど ww

思いかえすとステグリッツの「Progressive Capitalism」に似たようなことが書いてあって、

かつてウォーレン・バフェットは、企業が利益を確実に維持したければ、参入障壁となる堀で周囲を囲い、新規参入企業との競争ににより利益が損なわれないようにするのがいちばんいいと述べた。実際アメリカでは、きわめて収益性の高い最新の「イノベーション」として、この堀を作り、広げる能力、その結果手に入れた市場支配力を利用する能力を高めるイノベーションが生み出されている・・・

市場支配力の維持に創意を発揮したさらなる事例としては、テクノロジー系の大手企業が採用している「先制合併」という手法もある。これは、将来競争相手となりそうな企業を、競争上の脅威になる前に買収することを指し、政府がその買収を反競争的行為として問題視するようになる前に行われる・・・

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おそらく、イノベーションという言葉の理解に乖離がありそうです。初めてイノベーションという言葉を定義した経済学者シュペンターにとると、イノベーションとは「経済活動の中で生産手段や資源、労働力などをそれまでとは異なる仕方で新結合すること」。

つまり、「日本もイノベーションを起こしてGAFAのような企業を生み出そう」という場合の「イノベーション」は、「技術と資源を新しい方法で組み合わせて新しい産業を生み出す」というピュアな意味でのイノベーション。

一方で、現在米国で起きていることを考えてみると、(あの本のレビュアーとステグリッツの主張を信じるのであれば)米国のIT企業は「新しい産業を生み出す」イノベーションを起こすという段階はすでに過ぎていて、「支配的地位を確固たるものにする」イノベーションを起こすことに尽力していることになるわけです。

この潮流を極端に解釈すれば、現在支配的な地位を築いている企業(GAFA、VISA、マスターカードなど)が業界のトップの座を奪われることは、政治的圧力や大スキャンダルなどを除けばその可能性はかなり低いということになります。何故ならビジネスモデルはすでに出来上がっていて、新興企業の排除に金をたくさんかけているわけなので。

そう考えるとアメリカ株式に投資するのであれば、各セクターのトップに君臨している企業に投資しておけば高いリターンを得ることができる、というのは頷けます。

 

 

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