チャンドラです。
米国の景気を予測するうえで長期金利と短期金利の差が需要な指標となります。
この長短金利差について説明します。
長短金利差とは?
長期金利とは償還期間が1年以上の債券、短期金利は償還期間が1年以内の債券のことです。
短期金利は中央銀行の金融政策によって決定されます。米国の場合FRB(連邦準備理事会)が決定します。FRBは米国の景気が過熱気味で今後インフレが発生すると予想した場合、短期金利を上げて経済活動を抑制します。逆に景気が悪いと判断した場合は、金利を下げて経済活動を助長します。
一方、長期金利は市場の判断で決定されます。一般的に10年国債利回りが長期金利の指標として用いられます。市場の投資家は短期金利に「期待インフレ率」「期待成長率」「リスクプレミアム」を上乗せして国債の売買を行います。
- 期待インフレ率:投資家が将来物価が上がると予想する場合、この物価上昇分が長期金利に上乗せされます。
- 期待成長率:投資家が将来経済が成長して長期の資金需要が高まると予想する場合、この文が長期金利に上乗せされます。
- リスクプレミアム:投資家が投資に値すると判断できる程度の上乗せ金利です。リスク (=不確実性)が高いほど大きくなります。
長短金利差は(長期金利)-(短期金利)で表します。通常長期金利の方が短期金利よりも大きいため、超短金利差はプラスになります。理由は上述のように、長期金利には「期待インフレ率」「期待成長率」「リスクプレミアム」が上乗せされるからです。
長短金利差逆転とは?
通常プラスである長短金利差がマイナスになることです。短期金利が長期金利よりも大きくなります。
中央銀行は景気が過熱していると判断した場合短期金利を引き上げます。一方で市場が将来の景気が落ち込むと判断した場合、長期金利の上昇が鈍くなり、その結果長短金利差が逆転することがあります。
米国では長短金利差が逆転すると、その数年後に不景気になるという経験則があります。例えば2000年と2006年に金利差が逆転した後、株価が下落局面に入りました。
そのため長短金利差は将来の景気を予測するうえで重要な指標となっています。
長短金利差が逆転すると何故不景気になるのか?この時長期金利よりも短期金利の方が大きくなるので、銀行が企業への融資を控えるようになります。なぜなら、銀行は短期の資金を調達して長期で貸し出すビジネスをしているため、短期金利の方が長期金利より大きいと融資する方が損だからです。こうして銀行全体に貸し渋りの動きが広がっていき、少し遅れて不景気になります。これがざっくりとした理由です。
2018年の米国の長短金利差は?
長期金利と短期金利の差は縮まっており、12月3日にはついに米3年金利が5年金利を11年半ぶりに上回るという動きが見られました。そして景気後退の指標として最も注目される2年金利と10年金利の差も同様に縮まっており、12月現在0.15%差となっています。
参考:Bloomberg
このまま2年金利と10年金利も逆転するのでしょうか?動向を注視したいと思います。
それでは。
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