仕事でミスをしてトラブルを起こしてしまうことって誰でもあります。そこで同じトラブルを繰り返すことを防ぐにはどうすればいいかというと、過去に起きたトラブルの原因や結果を書き物で残して組織の中に残しておけばいい、となる。
ところが書き物で残しておいて社内のデータベースにポンっと置いておいたところで、それを見る人は多くはない。何もアナウンスされていないままデータだけが蓄積されたところで、みんな仕事が忙しいから誰も見ないというわけです。
そこで私の会社では過去の業務上のトラブル事例について調べて対応方法について発表するという勉強会を定期的にやっています。私もそこで色々調べて自分の見解を発表したんですが、上司にブチ切れされてボコボコにされたんですよ。苦い経験です ww
あまり詳しくは書けないのですが、「ある開発の案件で仕様変更が大量発生して予算を大幅に超過してしまった」のが事例。その仕様変更の原因は契約書に対して顧客技術者と私の会社の技術者の間に見解の相違があったからなんです。よくある話ですが。
この前提を踏まえて私がやるべきことはなぜ見解の相違が発生したのか?見解の相違は予算決定前に潰せなかったのか?両者は具体的にどのような見解をもっていたのか?なぜ最終的にコスト超過となったのか?このような事例を防ぐために今後どうすればいいのか?でした。
といっても私が担当していた案件ではなかったので、関係者にヒアリングして何が起きたのかを把握して自分なりに解決方法をまとめたのです。
始まりましたよ、社畜が詰められるショーが。
私「この案件で何が発生したのかというと・・・です。関係者にヒアリングしたところ・・・です。今後このような問題を防ぐには・・・するべきだと思います。」
上司「・・・」
私「何かコメントあればください。」
上司「おまえさ、色々ヒアリングしてるけどさ、」
私「はい・・・」
上司「問題の一番の原因になった契約書の原文、自分で読んだ?」
私「・・・え・・・いえ・・・読んでません。」
上司「なんで読まなくていいって思うの?」
私「えっと・・・一番の原因は契約書の文言に対する関係者の見解の相違です。原文の内容はヒアリング過程で見せてもらいました。だから自分で読む必要はないかと・・・」
上司「もう、いいよ。」
私「ファ・・?」
上司「原文を自分で読まないとか話にならないよ。時間の無駄。これは勉強会だけど、おまえの問題に対する取り組み方を見ていると、物事を表層的にしか見ていないし、他人事でやってるとし感じないわ。そんなもん、やっても意味ない。やり直し!」
私「しーましぇーん(泣)」
クッソムカつく上司だ!そう思いながら私は契約書の原文を読んだんですが、驚いたんです。確かに原文に書いている言葉は曖昧なんですが、私の会社の技術者の解釈は明らかに無理があった。ヒアリングのときに見せてもらった原文は一部だけで、契約書の原文を取り寄せて全体を読むと、明らかにその技術者の解釈は不自然だったんです。
つまり何が起きていたのかというと、その開発案件で、契約書を読んだ技術者は自分(自社)の利益になるよう都合の良く解釈し、あとでその解釈で顧客と議論になって負けるリスクを考慮せずに開発を進めていた。しかもその状況に気が付くチェック体制や顧客と合意をとる公式なイベントがなく、開発後半で明るみに出たために多くのやりなおし作業が発生したんです。
ここからがこの記事の要点です。私はこの技術者へのヒアリングで契約書原文を読まずにその技術者の解釈をあてにしてトラブル防止方法を考えていました。そもそもその技術者は自分が原文を都合よく解釈したことに気が付いていないわけで、そんな状態で技術者同士の見解の相違を比較してトラブル防止策なんて作れるわけがない。
そう、私がやるべきだったことは、自分で契約書の原文を読み、そもそもその技術者が考えていることに違和感がないのか?から始めなければいけなかった。私がやっていたのは、人の意見を鵜呑みにしただけで、そんなものをベースに出した結論は砂上の楼閣でしかないんです。
今から考えれば当たり前のことで、本当に恥ずかしいことです。ですがこの黒歴史はかなり学ぶべき点が多かったと思ってます。
鬼畜上司が放った「おまえは物事を表層的にしか見ていない」という言葉は今では気に入っているし、かなり「使える」と思っています。もし私が本や新聞の論説に「浅さ」を感じれば、それは参照するに値しないと判断できるからです。「浅さ」とはつまり、物事の断片を都合よく切り取ってチョイチョイと意見を肉付けして綺麗にまとめた論評。素人のブログならともかく金もらってそれならやばいな ww
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そういうの真剣にやると仲間に亀裂が入りかねないんで難しいよな。中には審査員を批判しなきゃいけないような事例もあるだろうし