前回の記事でS&P500の一括投資と積立投資を比較しました。比較内容は投資期間に対する平均リターン、リスクです。前提と結果を再掲します。
前提:年平均リターン 7%、標準偏差 20%、総投資額は同じ
20年後の平均リターン・リスク比較:
一括投資:平均リターン 306% リスク 272%
積立投資:平均リターン 126% リスク 33%
ここまでが前回のおさらいですが、リスク272%とか言われてもよく分からないので元本割れ確率で比較する、というのが今回の趣旨です。リスクとは分布のばらつきを示すものなので、リスク=元本割れ確率ではありません。しかし、投資において「元本割れしないかどうか?」が大きな関心事になる以上、リスクよりも元本割れ確率を調べた方が投資の意思決定には使えるとい思うからです。
というわけで計算した結果が下のグラフです。
まずは一括投資。投資期間が長いほど元本割れ確率が小さくなり、20年後には13%になります。元本割れ確率は年平均リターンと標準偏差に依存します。S&P500の場合は標準偏差に対する年平均リターンがそれなりに大きいので、長期投資によって元本割れ確率を大きく減らせています。
次は積立投資。元本割れ確率の低下は顕著で10年目以降の元本割れ確率はほぼゼロです。これは前の記事でも紹介したように追加投資を継続することでリスクを低下させた結果、元本割れ確率を大きく減らせているのです。
というわけでリスクを元本割れ確率に変換して再度まとめると、
20年後の平均リターン・リスク比較:
一括投資:平均リターン 306% 元本割れ確率 13%
積立投資:平均リターン 126% 元本割れ確率 0%
すると、「一括投資 or 積立投資か?」という問題は、20年間投資することを前提とすれば「20年後に資産を4倍にする(ただし13%の確率で赤字) or 20年後に資産を2.3倍にする (しかも赤字の確率はほぼゼロ)、のどちらを選ぶか?」という問題に言い換えることができると思います。このどちらを選ぶかは価値観の問題です。
ただし、私の考えではほとんどの人は積み立て投資を選ぶと思っています。いや、そうせざるを得ない。なぜかは別の記事で紹介します ww
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