私の会社で出世している人間を観察してみると、2つのタイプに分かれると思っています。一つは部下から信頼されている親分的な人間。もう一つは部下を詰めるのが上手い人間。割合としては2:8で後者の方が多いイメージです。もちろんどちらのタイプも成果を挙げてきている点では変わりありません。
「詰めるのが上手い」というのは何も部下を詰めまくって精神的に潰す、というわけではありません。部下の意思決定過程に抜けや漏れがないかを色んな側面から突いて、部下の間違いを修正にもっていくという意味です。そこで涙を呑む人間も多いのですが ww
例えば、私が上司に「資産運用するならS&P500に投資するのが最適解」なんてことを言ったとします。
どんなふうに詰められるか・・・。
私「やはり米国S&P500に連動するインデックス・ファンドに長期投資すべきだと思いますよ。ネット証券を使えば手数料無料で買えますし、信託報酬も安いですからね。米国は人口増加も見込めるし、革新的な企業がたくさん生まれているので、まだまだ伸びると思います。」
上司「なんでAmazonとかAppleにしないの?個別株だって買うのに手数料安いでしょ?」
私「個別株への投資は分散が効かないのでお勧めできません。例えばAmazonだけ持ってたとして工場が焼失したとか大規模なクレームが起きたとかで大暴落する可能性もあります。インデックスなら分散されているし、株式時価総額が最適なポートフォリオだという理論的な裏付けもあります。」
上司「ふ~ん。ところでS&P500の500って何?」
私「米国の証券取引所に上場している大型株500銘柄のことです。」
上司「大型だけ?小型や中型は加えなくていいの?」
私「ファ?」
上司「分散を効かせるのがいいなら、小型も中型も全部含めた方がいいのでは?それに小型・中型の方がこれから株価が伸びる銘柄が混じっているんじゃない?S&P500に投資してもそういう将来の成長株の勢いが含まれないんじゃない?」
私「まあ、そういう考えもありますが・・・。勢いという観点では大企業でもIT系の企業は勢いがあるので、そういう意味ではS&P500に成長企業がすでにちゃんと入っていると言えますが。」
上司「でも成長する企業は小型・中型の方が多いんじゃない?それ調べたの?」
私「いえ・・・」
上司「まあいいや。で、なんで米国?中国は?」
私「中国は政治体制が不安定なので中国市場だけへの投資は控えた方がいいかと」
上司「なんで?政治体制と株価って関係あるの?アメリカだって結構メチャクチャじゃないか?一党独裁だろうが、アリババとかテンセントみたいな超大企業が生まれてるよな?」
私「まあ、そうですが・・・」
上司「海外行ってみろよ。世界中、中国製品だらけだぞ。みんなTikTok使ってるし。インフラだって中国企業がどんどん海外出て行ってるよ。しかも14億人の内需がある。米国とEYを足してもまだそれ以上の規模だぜ。経済の伸びという点では中国の方が期待できるんじゃない?」
私「まあ、そうとも言えますね・・・」
上司「米国か中国か。そこが一番大事な点じゃないの?おまえみんながS&P500に投資しろと言ってるからそれに乗っかってるだけじゃない?甘いんだよ、考察が。」
こうやって詰められるシミュレーションをS&P500が最適、というよくある言説も実は怪しかったりしますね。