前回の続き。
過去のある期間のチャートを切り取ってSPYが良いだのSPYDが良いだのと分析して何の意味があんの?ってこと。・・・
ある一時期を切り取ってパフォーマンスを比較しても意味ない理由は、この式のウィーナー過程(ランダム変動)にあります。
ランダムな変動は過去の履歴に依存しません。例えば2000年~2001年に株価が10%上昇したらかといって、それが2021年~2022年のパフォーマンスに何の影響もないということ。
ではSPYとSPYDを何の指標で比較すべきか?
私の意見では (1) リスク・リターンの比較 (2) 適切に分散されているか? です。
ダラダラ説明するまでもなく、私の意見ではSPY (S&P500指数)なんですが、そこはちゃんと(1)と(2)の指標に基づいて説明します。
指標その(1)。リスクとリターン。
過去の一時期のパフォーマンスを切り取っても比較しても意味がないのは、株価変動モデルのウィーナー過程にあると説明しました。過去の変動は将来の変動に影響しないから。
この式に従えば、2つのファンドの優劣を比較するにはリスク (変動の大きさ)とリターン (一方向への動きやすさ)ということになります。前者はウィーナー過程に対応し、後者はドリフト項に対応。
Fiedelityのサイトで各ETFのリスクとリターン(5年間)を調べると:
SPY: リスク15%・リターン17%
SPYD: リスク20%・リターン10%
リスクは小さい方が良くてリターンは大きい方がよい。だからSPYの方がすぐれていると結論できます。
ただし、理想的には両者を50年といった長期間のリスク・リターンで比較するのが公平。SPYDは5年しかデータをとれなかったので短期間の比較になってしまったのが苦しい。
そこで私が重要視するのが (2) 適切に分散されているか?なんです。
過去記事でも説明したように、リスク資産の時価総額加重平均が最適なポートフォリオ。つまり「適切に分散されているか?」とは、その市場の中の多くの株式銘柄が含まれていて、かつ時価総額で加重平均がとられているか?ということなんです。
この観点でいえば、SPYDは落第でしょう。S&P500社のうち高配当の80社を抜き出している時点で、市場全体の時価総額加重平均が崩れまくりです。
減配リスクなどデメリットもありますが、時価総額加重平均を崩して歪なポートフォリオなっている点が致命的でしょう。
結論:SPYかSPYDを選ぶなら、SPYの方が良い。
ただし、株価変動モデルや現代ポートフォリオ理論を信用しないなら、その限りではないことを付け加えておきます ww
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