過去記事で解説したように、複数のリスク資産を組み合わせることで各リスク (ボラテリティ)に対して最大のリターンを生み出すポートフォリオを作ることができます。そのポートフォリオの集合を効率的フロンティア曲線とよびます。
そして、無リスク資産 (例えば現預金)の点から線を1本引いて、効率的フロンティア曲線と接する点を接点ポートフォリオと呼びます。この接点ポートフォリオは効率的フロンティア上のポートフォリオのうち、シャープレシオが最大となります。
詳細は過去記事参照:
シャープレシオが最大になるのは効率的フロンティア曲線上の接点ポートフォリオ。
なぜ全てのリスク資産の時価総額加重平均が最適なポートフォリオなのか?その理由と理論的背景。
下の図はある論文からの引用です。1926年~2010年の米国株と米国債券のリスクとリターンを平面上でプロットしたものです。点線が効率的フロンティア曲線、Tangency Portfolioが接点ポートフォリオです。
ところで、投資家のポートフォリオは無リスク資産と接点ポートフォリオを結んだ線上にあります。例えば無リスク資産:接点ポートフォリオ=50:50でポートフォリオを組む場合、線分の中点が該当します。
では、接点ポートフォリオよりも右側の線上のポートフォリオは何を意味するのか?それはレバレッジをかけることに該当します。(下の図を参照)
すると、面白いことが分かります。下の図で株100%のリスク・リターンは10.8%・18.9%ですが、その点をそのまま上に移動させると接点と交わる箇所があることが分かります。
つまり、レバレッジをかけると株100%のときのリスク (ボラテリティ)を変えずにリターンだけを高めることができるのです。
では、レバレッジをどれだけ上げればリターンだけを高めることが出来るのか?簡単な幾何学を使えば計算できます。
株のリスク・リターン = 18.9%・10.8%
債券のリスク・リターン = 3.4%・5.2%
無リスク資産のリスク・リターン = 0%・3.6%
接点ポートフォリオのリスク・リターン = 4.0%・5.8%
接点ポートフォリオの構成:株4%+債券96%
これらのデータを使うと、接点ポートフォリオ (株4%+債券96%)に4.7倍のレバレッジをかけるとリターンが14%になることが分かりました。
まあ4.7倍のレバレッジのかけ方が思いつきませんでしたが、中学で習った幾何学を使ってリスクリターン座標上の点を色々と弄るとポートフォリオの効率が改善されるのはナカナカ面白いですね。
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