私は米国株式指数S&P500に連動するインデックスファンドに投資しています。S&P500の過去の実績によれば年平均リターンが7%、標準偏差が20%程度で推移してきたことが分かります。
前回の記事で紹介しましたが、株価の動きは「ある一定の方向に動く」と「ランダムに動く」の2つの効果を考えてモデル化すると、リターンの分布を計算することができます。
言い換えると、X年後にリターンがY倍になる確率を計算することができるのです。
いくらS&P500に投資したからといってリターンを10倍にすることができるわけないだろうと感覚的に思うわけですが、じゃあその確率は小さくてもいったい何%なのかはちゃんとした数式で計算することができるのです。
ではその確率は1%なのか?それとも0.0000001%なのか?計算してみましょう。
さすがに1年や2年でリターン10倍というのはあり得ない話なので、長期投資を前提として20年間投資すると仮定します。問いは「S&P500に初年度に一括投資して20年後にリターンが10倍になる確率は何%か?」です。
年平均リターン7%、標準偏差20%として20年後のリターンの分布を計算したのが下の図。リターンが10倍以上になる確率は赤い部分を積分した値と等しい。
20年後にリターンが10倍になる確率は7.3%だと分かりました。意外と高いな ww
ついでに20年後に2~10倍になる確率をそれぞれ計算したのが次のグラフです。2倍になる確率は63%、3倍になる確率は46%・・・と徐々に下がっていきます。
それにしても7.3%というのは意外に高いな、というのが私の感想です。計算前は0.01%くらいかなと思っていましたが。。。
ところで前回の記事ではリターンの平均をexp(μt)で計算できることを説明しました。この式によると20年後のリターンの平均は4倍だと分かります。10倍よりだいぶ低いですが、あくまで「平均」だという点に注意すべきでしょう。
なぜ10倍ものリターンを得る確率が予想外に高いのかも、リターンの分布を見れば分かります。下の図はリターンの分布がそのように変化するかを示したものです。
これを見れば時間が経てば経つほど裾が立ち上がることが分かります。つまり高いリターンを得る確率が徐々に大きくなるということなんです。
これが長期投資で高いリターンを得る確率を高めることができるという、その種明かしなんです。
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