数か月前にブログ村で個別株に集中投資していた投資家がインデックス投資家に転向した。突然の転向は驚きをもって迎えられた。その投資家はコロナショックによる株価の暴落に精神的に耐えきれなくなり、株を売り払ってインデックス運用に切り替えたとのことだった。その人は「資産運用は総合力でやるもの」だから、本業に悪影響を与えるような個別株はやめて、本業とインデックス投資の両輪で資産を築いていく、とかそんなことを書いていた(と記憶している)。
この総合力という考え方は大切で、資産運用の本質を突いていると思う。株式投資というのは結局は資産最大化の手段であり、株式資産は資産のうちの一部でしかないからだ。(違う人もいるだろうが、それは少数派だと思う。)
本業収入と株式投資の関係を図で書くとこんな感じだろう。本業で稼いだ金を株式投資に使う。ここで株式投資だけに注目するということは、赤線の部分しか注目しないということだ。
でも、それは違うだろうと。これは部分しか見ていなくて全体を見ていない。株式投資は総資産を最大にすることなので、下の図で赤で囲った全体を見る必要がある。さらには、節約による支出削減や結婚相手の本業収入にまで視野を広げるという考え方もできる。リスク分散という観点で言えば、投資先の株価の動きと本業収入が逆相関にある方が望ましいし、自分のボーナスが下がっても嫁のボーナスが増えるような組み合わせがいいだろう。全体を見れば要素が増えるので、要素同士がどのように関係するかを明らかにすれば、どのようにリスクマネジメントすればよいかが分かる。
株価の暴落で本業に影響が出るから、ボラテリティが小さいインデックスに変更するというのは正しい対応だと思う。何故なら暴落による「精神的なダメージ」は負のフィードバックを生み出すからだ。暴落 → 強いストレス → 本業収入が減る → 投資金額が減る。本来は株で損することによる資産の減少は、本業収入で補うべきだが、それができなくなる。つまり全体として見れば資産が大きく減ることになる。
資産運用と言うと株とか債券とか不動産に目が向きがちだが、本業を忘れてはならない。何故なら本業収入も資産を構成する要素だからだ。しかもリスク性資産とは違って、(競争が激しい外資系は別として)本業収入は安定していて将来の収入が予測しやすいというメリットがある。安定して予測しやすいというのは本業の最大の利点だろう。本業の最大の利点である安定性を損ねるような、リスク許容度を超えた株式投資は控えるべきだろう。資産運用は総合力でやるもの。私の好きな言葉で言い換えると、資産運用は部分ではなく全体を見てやるなのだ。
こちらからブログランキングに戻れます: