私が大学生のころ島耕作シリーズが友人の家にそろっていました。結構面白くてのめり込むように読んでいたのですが、内容がとにかくぶっとんでいる。
オフィスでタバコを吸いまくるわ、上司はパワハラしまくるわ、社内の女性にモテまくるわ、同僚が北朝鮮に拉致されるわで、まだサラリーマン生活のサの字も知らなかったそのころの私は、サラリーマンって・・・激しいな(ゴクリ)と思ったものです。
そして就職活動で爽やかな人事担当者が会社説明をしているときでさえ、どうせ裏ではパワハラや派閥争いに明け暮れているんだろう、なんて思っていたんです ww
そして私は都内のある企業に就職したんですが、思ったのは漫画と全然ちがう(そりゃそうだろ ww)
お茶くみの女性なんていないし、オフィスでタバコを吸う人もいない。人前で怒鳴り散らす上司も”ほぼ”いないし、徹夜する人もほとんどいない。
島耕作がモーニングに掲載されたのが40年近く前なので、そりゃ描かれた内容が今とは違うわな、と思って安心したものです。
そして思ったのですが、やはりこういう時代を描いた漫画は貴重だなと。今の私から見たら島耕作の時代の昭和的な働き方は(良いか悪いかは別として)奇特に見えるわけですが、サラリーマンはこういう働き方をしていたという記録になると思っています。まあ漫画なので誇張している部分もあるとは思いますが。
もっと時間が経って、例えば2100年の日本人が島耕作を読んだらもっと驚くかもしれませんね。「なんで昭和時代の人たちはわざわざ会社に通勤なんてしてたんだ?」とか「なんで従業員は日本人ばかりなんだ?」なんて思うかもしれません。はたまた「日本に半導体を作る会社なんてあったのか!」なんて思うかもしれませんね ww
「記録」と書いていて思い出したのですが、中国のはるか西の方に敦煌という街があってそこに莫高窟という世界遺産があります。莫高窟は仏教絵画で有名な洞窟なんですが、ここがなぜ世界的に有名でかつ学術的に貴重なのかというと、敦煌文書という1000年以上前の古い文書が洞窟の壁の中から大量に発見されたからなんです。
そして敦煌文書がなぜ貴重なのかというと1000年以上前の民衆の生活や宗教、政治体制が詳しく書かれているからなんです。壁の中に隠された文書が奇跡的に1000年以上も失われずに残っているから、我々は当時の人々の暮らしの様子を詳しく知ることができる。
そう考えるとベストセラーとなった漫画の島耕作は、昭和世代のサラリーマンの生活を記録した貴重な文献のひとつになるのかもしれません。
課長 島耕作
社長とか専務もありますが、私はやはり課長時代が好きですね。昭和の匂いがプンプンするからです。この時代に働きたいとは思いませんが ww