欧州の名門企業、ロイヤル・ダッチ・シェルの株価は新型コロナウイルスの感染拡大で大暴落しました。
シェルは高配当で有名ですが、原油安による業績悪化の結果、戦後初の減配も行いました。
ところで、日経でシェルが三菱商事とオランダで大型洋上風力発電をやるという記事を見ました。
三菱商事と英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルがオランダで大型の洋上風力発電所を建設することが30日分かった。発電容量は計76万キロワットで、総事業費は1000億円を超えるもよう。2023年の稼働をめざす。有望な再生エネルギーの1つである洋上風力のノウハウを取り込み、日本での展開も視野に入れる。
シェル = 石油・ガス という考えはもう古いようです。
シェルのホームページを見ると分かりますが、風力発電や太陽光発電、乗用車用水素ステーションへの投資を着々と開始しています。
引用:Shell
特に今回報道された洋上の大規模風力発電所の運営の場合、シェルが得意とする石油開発事業のノウハウを活かせると思います。
風力発電と石油開発で分野は異なるとはいえ、難易度が高い海上施設の建設・運営という点では共通しているので、海上油田開発で得た海上構造物の建設で得たノウハウを活用できるからです。
洋上にデカい施設を設置し、運営するというリスクが高い事業はシェルだからこそできる。足りないノウハウは買収なりして蓄積して、これからどんどん参入していくのだと思います。
かつてシェルはシナリオ・プランニングという手法を活用して第一次石油危機の到来を予測しました。原油の供給不足と価格不安定な未来が到来すると予測し、他社に先駆けて対策を練りました。
その結果、セブン・シスターズ最弱と言われたシェルは石油危機をいち早く乗り切り、エクソンに次ぐ企業への成長したのです。
さすがに新型コロナウイルスの感染拡大による原油暴落までは予想していなかったでしょう。ですが、シェルならポストコロナのシナリオを練って、その対策に着手しているはずです。
SDGの流れも踏まえつつ、原油価格にふりまわされないような脱炭化水素系の事業に着々と舵を切っていくのだと思っています。
シェルは復活すると思います。
そして配当も復活すると思います。
シナリオ・プランニング:今後世界を動かす重要な政治的・経済的イベント、主要な組織や人物の意図を抽出し、そこから複数の未来像を描くこと。プランナーが描いたシナリオは経営者に渡され、経営者は予想された大変化への耐性をチェックし、必要に応じて経営に盛り込む。