「日本の国難 2020年からの賃金・雇用・企業」に面白いことが書いています。
ITやAIによる技術革新は、一般の労働者に恩恵を与えるものではない
と述べています。
21世紀における生産性というのは、油断のならない言葉です。生産性を高める最大の要因は、紛れもなく大幅な人件費の削減効果にあるからです。
AIやITによって仕事量が劇的に減少した分、あまった従業員はより高度な仕事に集中できるという理屈は、現実を無視した経済学上の詭弁にすぎません。高度なスキルが必要とされる仕事は、あまった人員のほんの一部で事足りてしまうのです。
生産性の引上げに成功した企業は、従業員に一段と高い水準の能力を求めることになり、不必要となった従業員を次々と整理する姿勢を強めていくでしょう。
引用:日本の国難 2020年からの賃金・雇用・企業
私の勤めている会社でも生産性の向上が声高に謳われています。本書の主張と会社のエライ人の声と面白いほど一致しています。
会社は成長するためにもっと仕事を受注したい
だけど人件費かけたくないから社員を増やす選択肢はない
だから社員は生産性を上げて、より少ない人数で多くの仕事をこなせ
生産性を上げるためにどうするか?
AIやITを導入して単純作業は自動化しろ
簡単な業務は人件費が安い海外の会社に委託しろ
社員は高度なスキルが必要な仕事だけに注力しろ
給料?上げません。一度上げたら下げるのが難しくなるし。
本書はもうひとつ重要な点を挙げています。
21世紀以降の経済システムでは、「生産性を上げれば、賃金が上がる」というう考えはもはや成り立つとはいえず、その代わりに「生産性を上げれば、株価が上がる」という特徴が前面に出てきているように感じられます。
生産性を上げたところで雇用は生まれず、また労働者の賃金が上がることも期待できません。
売上があがって人件費が下がることで、会社の利益が上がるのです。その結果株価が上がる。
私のようなショボいサラリーマンが資産を増やすには、
クビにならないように、会社が謳う生産性向上の実現に向けて努力し、
株価上昇が見込まれる市場に投資するしかない、
ということになります。
それでは。
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