前回の記事で「安全在庫」の考え方を紹介しました。
在庫数量 = 平均使用数量 + 安全在庫
安全在庫 = (安全係数) x (使用量の標準偏差) x √(調達時間)
ここで米が大好きな4人家族を例として、米を切らさずに、かつ余計な在庫を持ちすぎない最適な量を計算しました。この家庭の場合は15.8kgが最適な量でした。
ところで、この安全在庫の式はどうやって出てくるのか?
下のグラフを見てみます。米の在庫量を見積もれと言われれば普通は1日当たりの平均消費量をもとに計算するでしょう。
例えば1か月に1回しか買い物に行かない場合、1日当たり米を500g食べるなら500gx30=15kgの米を買っておけばよい。
でも実際は、コメの消費量はブレます。ある日は家族の誰かが外食するかもしれないし、子供が部活で腹減らして大食いするかもしれないし、米じゃなくて麺を食うかもしれない。
だから1日当たりに消費する量は正規分布に従って変動すると仮定するんです。それが下の図がイメージ。
1日当たりの消費量が正規分布に従うとすると、1日当たりの実際の消費量は平均値よりも多い可能性がある。
すると平均値との乖離が積み重なると、30日後に平均値との乖離分がますます大きくなる。
この「平均値との乖離分をある程度の欠品率を許容したうえで在庫として持っておこう」というのが安全在庫の考え方なんです。
ランダムウォーク理論によると、ある変数が単位時間当たりの標準偏差σをもつとき、T時間後の標準偏差はσ√Tです。(私が知る限り、この解説は「経済数学の直観的方法」が一番分かりやすい。)
だから安全在庫は、σ√Tに(1-欠品率)を乗じた数値に等しい。
この(1-欠品率)が安全係数であり、最終的に安全在庫の式は下のようになります。
安全在庫 = (安全係数) x (使用量の標準偏差) x √(調達時間)
欠陥率と安全係数の変換を再掲:
引用: 古川物流
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