私は資産の95%をインデックスファンドに投資しています。正直5%の現金を手元に残しているのは適当です。
実は過去記事で3か月あればよいのでは?という記事を書いたのですが、正直なところ定量的な根拠はありませんでした。
話は変わりますが、最近、製造業の生産管理に詳しいオッサンの話を聞く機会がありました。そのとき「安全在庫」という考え方を教えてもらったんです。
安全在庫の考え方は過去記事で紹介済みですが再掲します。
安全在庫とは、欠品を防ぐために工場で持っておくべき在庫の量のこと。
例えば工場でネジを製作するとして、毎月平均10万本売れるとします。じゃあネジ10万本分の材料を在庫でもっておけばよい、とはなりませんよね。だって、ネジが売れる量は毎月変動するんだから。
だからといって半年や1年分の在庫を抱えておくのは無駄です。在庫を置く場所のムダ、在庫を数える無駄、在庫が錆びたりしないように管理する無駄が発生するから。
では少なすぎず、多すぎない最適な在庫量はどれだけか?それが安全在庫なんです。
在庫数量 = 平均使用数量 + 安全在庫
安全在庫 = (安全係数) x (使用量の標準偏差) x √(調達時間)
安全係数は欠品許容率から下の表を用いて計算できます。欠品を完全にゼロにするのは無理、ある程度の欠品はしゃあなしで許容しつつ、在庫量を統計的な観点から決めるために安全係数が必要になるんです。
引用: 古川物流
上に挙げたネジの例で考えます。
ネジを1か月平均10万本売り、1か月おきに材料発注するとします。
1%の欠品率を許容するとしたうえで、1日当たり使用量の標準偏差が500本、調達時間 (注文してから届くまで)を30日とすれば、
安全在庫 = 2.33 x 500 x √(30) = 6,380
つまり、ネジの原材料を10,6380本在庫としてもっておけば、欠品は1%に抑えられることが分かります。
なるほど。これは面白いですね。
要は原料をどれだけ使用するかは不確定なので、使用量が正規分布に従うと仮定して安全在庫を計算してるんですね。酔ったオッサンが夜中にフラフラ歩いて、翌朝どの位置にいるか?っていう酔歩の計算です。
私はこれを見て気付いたのですが、この式はフルインベストメントする際に手元に現金をいくら置いておくべきか?に応用できそうだと思ったんです。
在庫との対応関係は次の通り。
在庫 = 手元に置いておくべき現金
平均使用数量 = 毎日の支出の平均値
少量の標準偏差 = 毎日の支出の標準偏差
欠品許容率 = キャッシュがマイナスになるのを許容する率
調達期間 = 収入もらえるインターバル(サラリーマンなら30日)
こうやって置き換えれば、手元に最低限置いておくべき現金を計算できそうです。
具体的な計算方法は次回紹介します。
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