書評

デービッド・アトキンソン「日本人の勝算」を読んだ感想

投稿日:2019年5月1日 更新日:




 

チャンドラです。

 

デービッド・アトキンソン氏の「日本人の勝算 – 人口減少x高齢化x資本主義」を読みました。

気になった部分を紹介します。

人口減少と高齢化がデフレを促す

 

日本は人口減少と高齢化が同時進行で進む世界でも稀な国です。

世界全体の2060年の人口は36%増加することが予測されています。ところが日本は2060年の人口は30%減少すると予測されています。そしてこの減少率は先進国の中でも突出して高い値です。

高齢化も急激に進みます。2060年には65歳以上の人口が3400万人で人口の40%が65歳以上となることが予測されています。10人中4人が65歳以上!!

人口減少と高齢化が問題だとは認識していましたが、数字で示されると生々しさが伝わります。

 

人口減少と高齢化は共にデフレを促します。

一般的に物価と不動産価格には強い相関が見られます。つまり不動産価格が上がると物価が上がるし、不動産価格が下がると物価も下がりやすい。

商品と違って不動産の絶対数は簡単には減りません。つまり人口が減ると不動産のストックは減らないので不動産価格が下がります。

つまり人口が減ると物価が下がる傾向にあることが分かります。だから人口減少はデフレ圧力になるのです。

また、研究結果によると超高齢者(74歳以上)人口の増加は大きくデフレ要因になることが分かっています。生産年齢(15歳以上64歳未満)の増加はインフレ要因となりますが、この年代も減少するので、やはりデフレ圧力が働きます。

 

つまり、人口減少と高齢化のダブルパンチがデフレ圧力となります。だから日銀が量的緩和をいくらやってもインフレ2%達成は難しいと思います。

 

経済成長するために生産性を上げる

 

国の経済成長率は「人口の増加」と「生産性の向上」に分けられます。

1990年~2015年の世界経済成長率(2.7%)の内訳は、人口増加要因(1.3%)と生産性要因(1.4%)

日本の場合(0.9%)は人口増加要因(0.1%)と生産性要因(0.8%)

日本は今後人口が減るので人口増加による経済成長は見込めません。ではどうするかというと生産性を上げるしかないのですが、日本の生産性は世界第28位と情けない数字です。

日本の労働生産性はギリシャより3%高いだけで、イタリアやスペインより低いのです。

労働者一人当たりの生産性で見ればすでに三流です。

日本の生産性はほぼ全産業でアメリカに比べて低くなっています・・・

日本の産業の80%以上はドイツより生産性が低いのです・・・

日本の生産性の低さはあまりにもた他分野にわたっているので、生産性を低くする構造的な問題が存在すると解釈するのが妥当でしょう。

 

ちなみに「生産性」の定義は「GDP」を「就業者数 x 労働時間」で割った値です。

生産性を高めるには、より少ない人数がより少ない労働時間で利益を出す必要があります。つまり付加価値が高い産業に注力すべき。

ところが多くの企業が「いいものをより安く」を目指して価格競争を繰り広げています。これは値段を安くしてもそれを買う人がたくさんいる人口増加時代に有効な戦略です。人口減少時代には逆行した戦略だと筆者は指摘します。

 

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最低賃金の引上げが生産性を上げる

 

生産性を向上させる効果が最も期待され、実施されている経済政策は、継続的な最低賃金の引上げです。

最低賃金と生産性の間に、強い相関関係を認められるからです。

 

筆者は最低賃金の引上げが生産性を上げると主張しています。そして最低賃金を毎年引き上げてきたイギリスを例に挙げて根拠を示しています。そして最低賃金も引き上げが失業者の増加をもらたすという説も否定しています。

 

加えて賃金を引き上げるには、国が主導するしかないと指摘します。

問題は、経営者が自ら進んで賃上げに動くことはありえないという点です。

自ら動かないのであれば、何らかの形で「動かす工夫」が必要になります。その工夫こそが「最低賃金の引上げ」なのです。

まあ経営者は反対するだろうな、と簡単に予想はつきます。経営者でなくても「如何に人件費を抑えて高い利益を出すか」は課長とか部長クラスの人間でも日々考えていることなので。

 

人材評価ランキング世界第4位?

 

ただし一点だけ気になる点があります。

著者は「日本の人材評価ランキングは世界第4位」だから「最低賃金引き上げに足る優秀な人材が揃っている」と述べています。

確かに世界経済フォーラムの2016年のレポートでは、人的資本指数ランキングで日本は人的資本ランキングが世界第4位です。ところが2017年のレポートでは、17位に急落しています。

生産性向上のためには、高度熟練労働者の割合を測る「ノウハウ」の分野が重要だと思えるのですが、これも19位で高いランクだとは言えないような気がします。「日本人は優秀、世界第4位」という気持ちの良い言葉にはあまり踊らされない方がいいと思います。

 

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まとめ

 

最後に・・・

「日本人の勝算」を読んで分かったことは、

① 高齢化と人口減少の経済に与える影響は予想以上

② 生産性を上げる最も有効な手法は最低賃金引上げ

➂ 生産性を高めるには社員のスキルを高める必要がある

 

じゃあ明日から何が出来るかというと・・・

①に対しては、やはり(生産性があがったとしても)人口増加要因が期待できない日本の経済成長は見込めないので、海外に投資して資産運用を継続。

②に対しては、平凡な会社員の自分に出来ることはないし国や経営者がやるべきことなので、ノーアクション。(選挙くらいか?)

➂は出来ることあり。私はチームで働くことが多いので、チームメンバー全体の生産性が高められるように、本を読んで学んだり、学んだことを仕事で実践する。

ありきたりな結論に落ち着きましたね・・・

 

本書は「最低賃金引き上げが生産性を高める」という主張は斬新で、しかも様々なデータで売裏付けているので、一読の価値があると思います。

 

それでは。

 

 

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チャンドラです。

東京在住の30代前半会社員でエンジニアとして働いています。エリート外国人のお客さん相手に日々奮闘中。6年間で貯めた2000万円を元手にインデックス投資を始めました。

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