私が注目しているフランスの歴史学者エマニュエル・トッド氏をインタビュー本「大分断」。
高等教育が無能なエリートたちを生み出した。
昔はエリートというのは社会の一部の、非常に頭の良い、高学歴で社会的責任感を持ち、同時に国家に対する責任感にもあふれた人々でした。
今のエリートは「集団エリート」と呼ぶべきものになっています。高等教育を受けた全人口の30%~40%の人々、必ずしも優秀ではない人々が自分たちのことをエリートだと思っているのが現状です。
似たもの同士の集まりで、皆が同じような思考をもっています。フランス、イギリス、アメリカなどの国々では、エリートに対して遅れている大衆がいる、といった構図が出来上がっています。
エリートが開かれた世界を代表しているのに対して、そうでない人々は閉鎖的な世界にいる、というような構図です。
問題は右派、左派というよりも、彼らが教育的な観点からも「上層部」にいるという点なのです。
なるほど。つまり手短に言えば「責任感がない人間が似たような高等教育を受けてエリート気どりしているのが問題」と読めます。
また、エリート層は「目的を失っていて内向的」になっていて、一方で大衆は何をやっても上手くいかないエリート層に「裏切られた」と感じている。今は世界各国で民衆の決断を汲み取るエリートを、大衆が失った状態=ポピュリズム、だと。
なかなか説得力がありますね。
ちなみにトッド氏の家族分類によると、日本とドイツは直系家族型に分類されます。この型ではエリート vs 大衆の対立は比較的生じにくいのだそうです。
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