チャンドラです。
出社せずに仕事が出来るリモートワークを採用する企業が増えてきました。私の会社でも、オンラインツールを使えば在宅勤務ができるのではないか議論が始まっています。実際に他の拠点との協業にはMicrosoft Teamsを使ったり、電話MeetingではWebexを使ったりしています。これらのツールを使うことで、関係者が離れていても資料を簡単に共有出来たり、同じ画面を見ながら会議を進めたりできます。以前よりコミュニケーションが格段に効率よくできるようになっていると感じています。
リモートワークは便利ですが、採用する企業が増えれば増えるほど職も減っていくような気がしています。私の会社を例に挙げます。私は設計業務をしていますが、設計にかかる人件費を抑えるよう上司から口酸っぱく言われます。なぜなら人件費が高いと案件を勝ち取るための競争力が落ちるからです。人件費を下げるための方法は主に2つです。1つは効率よく働いて少ない人数で仕事をこなす。これは簡単ではありません。単純作業なら今流行のRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)を使って作業時間を大幅に減らせる可能性はあります。ですが設計業務は契約要求やノウハウを設計書などに落とし込む作業が出てくるので、そう簡単には作業時間を減らすことはできません。人件費を下げるもう一つの方法は何か?それは外注です。自分たちで作業するよりも人件費が安い会社に作業を外注すれば人件費は減ります。
私の会社や同業の会社がどこに外注するかというと、それは日本国内ではなくインドやフィリピンなどの会社です。最近ではネパールにも外注することもあります。これらの国には英語はもちろん話せるし真面目で設計能力にも秀でた人材があふれるほどいます。しかも人件費は日本人の1/3以下です。なのでこれらの会社に外注すれば人件費をゴッソリ浮かせることが出来るわけです。やり方は簡単。依頼するための指示書を送ってWebexで説明し、成果物をチェックするだけです。もちろん彼らは日本語を話すことはできませんが、設計図とか英文の仕様書やプログラムのコードは日本語を使わないので、英語でやって欲しいことを伝えて英語で成果物を出してきてもらえばそれでOKなのです。外注先に専門知識さえあれば日本人に外注する必要性もありません。
ウェブツールが発達して外国とますます共同作業がしやすくなると、企業はもちろん人件費が安い国に作業を外注していくようになります。企業の目的は利益を得る事だからです。これまでは簡単な設計作業・チェック作業・誰でもできる事務作業を社員や派遣社員にやらせてきた企業は、今後は人件費の安い国に簡単に外注を出すようになるかもしれません。そうすると企業は社員や派遣社員を多く抱える理由もなくなってくるので、採用する人数を減らしていくことになります。つまり職が減ることになるのです。
人件費の安い国に作業を外注するやり方は欧米企業でより進んでいます。私の知っているある欧米企業は、時差が異なる本国とインドで連続的に設計業務を行うことで、24時間体制で作業を進めるようなことも行っています。まさに人件費の安さと時差の違いの両方を利用したうまいやり方です。では欧米の国が人件費の安い国に作業を外注するといって、日本人が受注できるかといえば、それは難しいと思います。そもそもインド人やフィリピン人に比べて日本人の人件費は高く、英語も下手くそなのでわざわざ日本人に外注するメリットはないのです。つまり新興国への外注が進めば進むほど、日本人は本国からも海外からも仕事をもらうことはできず、職を得ることがますます難しくなってしまうのです。
とはいえ新興国に外注されるのは専門性が高くない作業で、高度な作業や意思決定が要求される作業は日本国内に残るといえます。それは言い換えると単純作業しかできない人は仕事を得ることは難しくなることを意味します。自戒もこめて言えば、高度な(=獲得に時間がかかる)専門知識や人を動かして目的を達成できる能力を持たないと社会で生き残れません。生きていくのがどんどん難しくなっていく世の中です。それでは。
日本人の勝算 人口減少×高齢化×資本主義 [ デービッド・アトキンソン ]
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