日本人の生産性が低いというのはよく言われることですが、個人の問題が原因というよりも集団や業界として問題があるような気がしています。
ある企業が生産性を上げようとしても、その企業だけが努力しようにも限界があるわけです。特にマズいのが顧客が生産性が低いカルチャーを有している場合。
私の経験から具体例を挙げると:
(1) 対面重視。Web会議で済む内容をわざわざ対面で報告させる。
(2) 会議が多い。1回の会議で終わらずに下っ端と重役でわざわざ会議を分ける。
(3) 契約で合意した業務の範囲以外のことを押し込もうとしてくる。そしてそれが当然の権利だと考えている。
(4) 質問に対する回答が遅い。回答する気があるのかないのかも見えない。
(5) 社外交渉する担当者の裁量が小さいために社内で話をまとめるのに時間がかかる。そのためダラダラと確認項目が増えて合意に時間がかかる。
顧客の生産性が悪かろうが顧客は選ぶことができないので、ある程度要求を呑むしかありません。対面のミーティングは効率悪いのでやりません、なんてよほど力関係が逆転していないと言えませんからね。
その結果、生産性が下がる。そう、生産性の悪さは伝播するんです。力関係が上の者から下の者へ。
コロナ禍でもハンコを押すために出社するサラリーマンが話題になりましたが、取引先がハンコを要求するので仕方なく出社している人もいたそうです。これなんか最たる例でしょう。
ところで個人の生産性に目を向けてみます。私の周りにも生産性が飛びぬけて高い人がいますが、その人をよーく観察すると面白いことが分かります。
生産性が高い人は相手の生産性を下げないように注意して仕事を進めているんです。
「相手」というのは上司とか部下とか取引先の人です。具体的には、会議の議題をキッチリ決めるとか、誤解のない言葉遣いをするとか、タイムリーに情報共有をするとか、やり直しを発生させないよう段取りがしっかりしてるとか、です。
傍から見ていて気持ちよいくらい話が進むんです。これは段取りをしっかりしてるからなんですね。
まあ当たり前のことなんですが、相手の生産性を下げれば自分の生産性低下として跳ね返ってくる、ということを意識しているからこそできるわけです。
「ITで業務効率化する」というのも大事なんですが、この辺の基本的な気遣いも大事だろうと思います。
記事が役に立ったらクリックお願いします↓