私は会社の前払い退職金制度を使って、退職金を前払いで受け取っています。30年後に退職時に受け取る退職金を事前にもらって自分で運用することで、大きな資産を築けると考えているからです。
前払い退職金にはメリットもありデメリットもあります。
<メリット>
(1) 30年後にもらう退職金を先取りしてもらえる。
(2) 若いうちに先取りして長期運用すれば複利効果で資産を増やせる。
<デメリット>
(1) 受け取るたびに税金が引かれる
(2) 自分で運用しなければ損する
私の会社の場合を例として考えてみます。
私の会社では定年退職まで働き通せば、約2,500万円の退職金を受けとることができます。退職金を一括で受け取るときの税金は約100万円です。これらを考慮すると、私が退職時に受けとる手取りは2,400万円です。
次に、私が前払い退職金を受け取る場合を考えます。私が受け取ることができる前払い退職金の累計は約2,000万円です。ただし、受け取るたびに約20%の税金がかかります。すると手取りは1,600万円です。
まとめると:
退職金を一括で受け取る場合:2,400万円
前払い退職金を受け取る場合:1,600万円
つまり、前払い退職金を運用せずに受取り続けた場合は約800万円損することになるのです。
では前払い退職金を年率何%で運用すれば得するのでしょうか?
計算してみました。※下の運用結果はファンド売却時のかかる売却益x20%の税金を引いています。
退職金一括で受けとる:2,400万円
前払退職金を年率2%で運用:1,970万円
前払退職金を年率3%で運用:2,200万円
前払退職金を年率4%で運用:2,500万円
前払退職金を年率5%で運用:2,800万円
というわけで、
前払い退職金を受け取る場合は年率4%で運用しないと損する。
年率5%で運用すれば約400万円得する。
ことが分かりました。
・・・・
あれ?400万円って「より大きく資産が築ける」ってレベルじゃないな・・・。
私はインデックスで年率5%をターゲットにしています。この結果の通り、前払いで運用しても退職時に400万円しか差がないのはちょっと意外でした。ここまで書いといてなんですが、あまりメリットないかも・・・。
これはあくまで私の会社を例にしたものです。受け取る額によって結果は変わるの注意してください。
また、今回は企業型DC制度を活用していない例を考えています。企業型DC制度を使うと運用益は非課税になります。さらに前払いとして受取ることもないので受取時に税金は発生しません。従って、企業型DC制度を使えばもっと低い年率でペイします。年率2%でもペイするかもしれません。企業型DCを活用したケースは今後さらに検討してみます。
ただし掛け金の上限額が決まっているので、受け取る退職金の一部を企業型DC制度で運用し、残りを個人で運用する形になります。私の場合は会社で上限金が会社で規定されているので、約半分を企業型DCで運用しています。
というわけで、
前払い退職金はキャッシュで寝かせずに運用しないと損する、と覚えておきましょう。