ポートフォリオ組成はエンジニアリングだと思ってます。
エンジニアリングという言葉は実は分かるようで分からないような、けっこう曖昧な言葉です。
業界や職業によって意味が異なってくると思うんですが、私がここで言うエンジニアリングとは「数学を用いて最適な設計を行うこと」。
設計とは何も図面を作ったりソフトウェアのコードを書いたりするわけではなくて、異なるものを寄せ集めて特定の目的を達成するシステムをつくるということ。
つまり、異なる銘柄を集めてきて銘柄の特徴 (リスク・リターン)と関係性 (リターンの相関関係)をもとに結果が最適になるように比率を決定する。
すると「最適って何?」という話になります。最適ってどういう意味か?
ポートフォリオ理論ではシャープレシオ (リターン/リスク)が最大になった状態のことを「最適」としています。
シャープレシオが最大とは、リターンが大きくてリスクが最小の状態。だから、「シャープレシオが最大」という目標を達成すべく異なる銘柄の割合を数学的手法で決定するのがポートフォリオ組成。だからエンジニアリングだと言えると思うのです。
(そもそも現代PF理論創始者のマーコビッツは線形計画法の専門家だったからこそシャープレシオ最大化を思いついたという背景もありますが。)
ところでこういう考え方もできます。時価総額加重平均でシャープレシオ最大ってのは分かるけど別にそれに固執する必要はないのでは?上がりそうな株を混ぜとけばエエやん。難しく考えるなよ、と。
別にそれはそれでいいんですが、エンジニアリング的なアプローチをとることには他に比べて大きな利点があると思います。それはエンジニアリング手法は合理的だということ。
例えば身の回りのモノやサービスの全部とはいいませんがほとんどがエンジニアリング的手法で設計されています。
パソコンやスマホは電子工学や情報工学の結晶だし、建物の設計も構造解析で決定されてます。鉄道のスケジュールは組み合わせ最適化法で組むし、大型スーパーにレジを何個設置するかは統計学を使って決めます。
ほとんど全てのものは、感性に頼って製作する芸術作品は除くとして、エンジニアリング的手法で設計されてます。理由は、それそれの分野で最適 (事故や破損が起きないレベルに安全で、かつコストを最小限にする)を目指す手法としてエンジニアリングはいちばん合理的だから。
だって嫌でしょ?例えば今からマイホーム建てようとして業者に頼んだら「余ってる材料いっぱいあるんで、図面も強度計算もなし、勘で材料くみあわせて施工していきま~す。安いっすよ? ww 」って言われたら。
エンジニアリングしないってことはそういうことなんです。何と何をどのように組み合わせれば「最適」が実現できるか、ってことを考えない。
それは言わば、そのへんの材料を適当に混ぜて作るってこと。そのやり方で高い確率で成功するのはカレーの調理くらいでしょう。
関連記事:
記事が役に立ったらクリックお願いします↓