サラリーマンとして働いていて、もっとも生産性のない作業は社内調整だと思います。特に複数の部署や組織が関わるような意思決定をする場合、調整に時間がかかります。なぜなら多くの人は異なる考え方をもっているし、また利害関係がありますからね。
で、この生産性のない作業にウンザリすることも多いのですが、私は調整作業をこなす能力は超重要だと思っています。なぜかと言うと、これができないと何も決定できないし何も前に進まないからです。
何か問題が起きているのに、色々な人が色々な解決方法を主張して、何も物事が決まらないままダラダラと時間が過ぎる。どこの組織でもよくあることなのではないでしょうか。
この調整作業は、要は意思決定プロセスの一つなんです。
私がネットで見つけて面白いなと感じたのはこの図です。
Aでは動物愛護団体らしき人がロバが可哀そうと騒いでいます。Bは老婆を歩かせている爺さんを批判するフェミニスト。Cは爺さんを歩かせる婆さんを批判する男尊女卑的な人々、たぶん儒教的な価値観を持つ人々。A~Cの批判を受けて良かれと思ってロバに乗らない選択をした爺さんと婆さんは、Dでバカだと非難されています。とても良くできていると思いますよ、これ ww
私個人の話をすると、仕事でこういうケースに直面することは結構あります。そして色々言いたい放題言う人々の主張に挟まれるのが、実は一番ストレスを感じるんです。そして何度か爆発したこともあります。最近ではコロナ対応で政府が批判されまくっていますが、その対応の是非はさておき私が安倍首相ならもうキレまくって夜も眠れないと思いますね ww
で、こういうケースに直面した時にどう話をまとめるか?それが一番重要です。私が思うに、関係者全員(下の図のA~D全員)が100%満足する解決法を生み出すことは不可能だと認識することが大切だと思うのです。時間がたっぷりあれば可能かもしれませんが、物事を決めるにはタイムリミットがありますからね。
じゃあ私がこの状況(色んな人から意見を言われて、どう意思決定するべきか悩んでいる)をどう打破するか、よくやるやり方を挙げてみると、
(1) A~D全員を集めて会議
この方法のメリットはいくつかあって、全員が議論に参加することで全員が納得する結論に行きつきやすいということです。
例えば私が爺さんも婆さんもロバに載せたいといえば、A~Cの批判が来るでしょう。とはいえ長距離歩くのは辛いという私の主張もあるので、じゃあ10分毎に爺さんと婆さんが交互にロバに乗るという折衷案を出します。これならA~Dの人も納得するでしょう。
関係者全員で会議するメリットは、思い付きの批判を排除できるというメリットもあります。上の図でいえばDの批判は思い付きの批判に近そうです。
ネットでは「なんとなく不愉快だ」といった感情に基づく批判であふれていますが、こういう批判は論理的根拠がありません。こういう人は実際に関係者会議に呼び出して発言を促せばたいてい黙ります。だからテキトーな批判をしてる人には全員の前で喋らせればいいんです。私の経験では、そういう人は会議で発言しませんからね。
(2) 対立する相手に圧力を加える
この方法はあまり使いたくないのですが、対立する意見をどうしても早急に潰したいときに使います。ただし明らかに相手がトンチンカンなことを言っていてしかも頑固な時に限ります。
例えば私の意見(ロバに爺さんと婆さんの両方が載る)に対してB~Dの人々が「まあ年寄りだから2人とも乗ればいいんじゃない?」という譲歩した態度を示して、Aだけがそれに頑強に反対しているとします。
私としてはAの主張(ロバが可哀そう)を潰したいので、Aの主張の不合理性を挙げて、Aのせいで意思決定が遅れて困っているから意見を撤回してくれないかAにメールで伝えます。ここで他の関係者もメールのコピーに入れておきます。こうすることで、なんでAは些細な事(ロバが可哀そう)にこだわって意思決定を遅らせるんだ、という雰囲気を醸成してAにプレッシャーを与えるのです。
ここでAが折れれば私の思うつぼですし、Aは折衷案を出してくるかもしれません。もしかしたら「ロバに2人乗せるのはなんとしても認めがたい。その代わりもう1頭ロバをあげるからそれに乗ればいい」なんて案を出してくれるかもしれません。
(3) 敵を減らす
私としては爺さんも婆さんもロバに乗せたいのですが、爺さんはまだ足腰が頑丈なので、爺さんは歩いて婆さんはロバに載せる妥協をしてもいいと考えます。すると敵は減って、残りの敵はC「爺さんを歩かせる」に抵抗する人だけになります。
あとは(2)と同じ方法で、Cのせいで意思決定が遅れている、と騒いでCにプレッシャーを与えます。Cが折れれば解決です。
(4) 相手に決めさせる
解決するのが面倒くさくなってきたときに使います。つまり「2人ともロバに乗る」「片方がロバに乗る」「2人とも乗らない」のどれかは「私は折れるので、後はあなた方で決めてください」と伝えるのです。
あなた方は好き放題主張してるんだから、私はあなた方に従いますよ。その代わり、あなた方も汗をかいてよーく議論してくださいね、というふうに。私だけ頑張る必要もないんですから。
ここで誰も動かなかった場合は、議論する気がないということです。これはつまり、意見がないということなので、私の意見(2人でロバに乗る)で進めますね、ということで押し通せるということです。確固たる意見を持つ人なら、ここで動いて話をまとめてくれるので、あとは結論に従えばOKというわけです。
(5) 上位者に挙げる
どうしても解決できない場合や、これ時間かける価値がない場合は上位者(例えばプロマネ的な人)に挙げます。丸投げしてる感をだすと印象が悪いので、色々話し合った結果、各メンバーの意見や根拠をまとめたうえで、何が最適なのか決めてほしいと伝えます。
まあ、こんな感じでしょうか。
どの方法をとるかは、ステークホルダーの数や相手との力関係、自分がどれだけ意見を押し通したいか、どこまで妥協できるのか、どれだけ意思決定に時間をかけれるのか、など色々な要素によります。
少なくとも、どんな手法をとるべきか、その手法を自分の中で揃えておくことが重要だと、私は考えます。
そして、最後に一言。一番重要なことは、ちゃんと議論して意思決定をしたこと、そしてそのプロセスを開示することです。
一番もめるのは、誰とも議論せずに決定事項だけ伝えること、そしてせっかく議論したのにプロセスを開示しないために、議論していないかのように相手に思わせることです。
これをやってしまうと相手に不信感を与えてしまい、その結果ほかで問題が起きても誰からも助けてもらえなくなります。実際に私はこれをやってしまって痛い目をあったことがあるので、これは肝に銘じています。
非常にためになる記事ですね…。
こうして言語化されると、わりと対応の仕方もあるんだと勉強になります。
まあ、チャンドラさんレベルの方ならともかく、
そもそも会議で決まったことしか降りてこない下っ端の私には、縁遠い話でしたがw
ブログやネット程度のいざこざには使えそうです。
コメントどうもありがとうございます。
記事で挙げた手法は人数が限られていて、かつ対面での対話が可能な場合には有効だと思ってます。
ですが、ネットのような匿名空間だと不特定多数が好き放題に意見を主張しますよね。
その場合、対話をしようと働きかけても相手が応じなかったり、人格否定的な発言にエスカレートして、まともに相手にするだけ疲弊する可能性が高い。
従って、匿名空間でのいざこざは、そもそも正しい議論をやりにくいという側面があると考えています。
ですから、私の場合は意味不明なコメントや中傷が来たら削除して終わらせますね。
まあ会議が増えるのも理由があるってことだなあ
厳しいよな人間社会は
コメントありがとうございます。
確かに会議が増える理由がコレですね、
ただし会議も1回で終わらせる努力が必要ですね。