「米国S&P500に連動するインデックスファンドに長期投資すれば資産を築くことが出来る」という考え方を支持する人は多いと思います。過去のS&P500の推移をみると暴落を繰り返しながらも力強く上昇してきたからです。
私はこの「S&P500に長期投資する」というたった一言の威力を噛みしめています。これまでに学んできた数多くのことに比べて、この一言ほど有益な一言はなし。そう考えているのです。
私たちは小学校・中学校で義務教育を受けたあと、高校・大学で高等教育を受けます。高等教育を受けるか否かは自由です。なぜ高等教育を受けるのかと言えば、例えば機械学習の分野を学んで情報技術系の企業に就職するといったように、より高い給料の企業に就職するためでしょう。
中卒や高卒の給料が大卒よりも必ずしも高いわけではありませんが、比較的給料が高い大企業が大卒者を中心に採用している現実を見れば、大卒の給料の方が高いことは間違いないでしょう。だから多くの人は、より高い給料を得るためにわざわざ時間をかけて高等教育で学び続けるわけです。(もちろん大学で幅広い分野を学んで「人間力」を高める目的もありますが、ぶっちゃけ就職のために大学行く人が大半でしょう。)
では、高校・大学の6年間で高等教育を受けてきた人々にこう問うてみたらどうでしょうか。この6年間で学んできたことで、実際に社会人生活で役に立ったことは何でしょうかと?
高校・大学で幅広い内容を何千時間もかけて学ぶわけですが、大学を卒業してから自立して生活するうえで役に立っていることはほんのわずかしかないことに、愕然とすることが分かります。
もちろん学んできたこと全てが無駄というわけではありません。私の場合、大学で学んだ理系分野を使って仕事をしているし、仕事以外でも文系よりの知識を使うことがよくあります。ただし金を稼ぐとか資産を築くという観点でダイレクトに活かせている知識を、高校・大学で得たかと言えば、やはり皆無だといえるでしょう。何千時間を費やしたのにも関わらず、です。
高等教育では、例えば熱力学や量子力学が多くの天才によって発見され体系化されてきたことを学び、演習問題を解きまくって「使える」ようにすることを要請してくるわけですが、だからといって金を稼げるようになるわけではありません。ほんの一握りの人間はそのまま学問の道に進むか、学んだことを使いまくる業界で働くかもしれません。だがそれは一部でしょう。
つまり、こういうことです。一握りの人を除いて高等教育で学んだ内容は、社会人になればそれらを断片的に使うだけで、金を稼いで資産形成することにダイレクトに活かせるものはほぼないと。
ここではじめの主張に戻ると、「S&P500に長期投資して資産を築く」の威力が分かるでしょう。何千時間を費やして何千もの単語、年号、方程式、証明方法、人名、出来事を学ぶよりも、たったこの一言に勝るものはないのです。資産形成という、ある意味人生でもっとも重要な問題なのに、この一言よりも明解で具体的な解決方法を学ぶことなく、資産形成期を終えるというのは、よくよく考えると驚くべきことだと思えてきます。
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