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モンスター企業TSMC。稼いでは巨額投資の高速回転。

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とある理由で私が興味を持っているのが台湾のモンスター企業、TSMC。

その歴史やビジネスモデルを解説した文献も多く、ある文献には「今世紀の最重要企業」という文言も。

昨年読んで一番面白かった本「2030 半導体の地政学」からの引用。

世界のライバルはTSMCの技術力に太刀打ちできない。ファウンドリーというと、大手メーカーの序列の下位にあると思う向きがあるかもしれないが、その認識は誤りだ。難度が高いチップになると、メーカーはTSMCに頼まないとつくることができない。TSMCの顧客は自社の工場を持たないファブレス企業だが、顧客であるファブレス企業よりTSMCの立場の方が強いかもしれない。

その強みの一つは、世界の半導体企業とつながるネットワークにある。TSMCに生産をゆだねる企業は世界に約500社あり、TSMCはこれらの企業との取引を通して、世界の需要を把握できるからだ。市場から遠いようで、実際には市場の近くで流れを眺められる立場にある。・・・

稼いでは投資し、投資しては稼ぐ。時には借りて投資する。そしてもっと稼いでもっと投資する。2020年の売上高は5兆円を超えるが、21年の設備投資額も3兆円の規模を想定し、同年から3年間に予定する投資額は合計11兆円に上る。巨大な投資リスクを背負いながら貪欲に高速回転を続ける姿は、まさに「化け物」だ。

集積度が高いチップを高い歩留まりで生産できる点で、TSMCは世界トップ。最近では回路線幅2nmチップの工場着工を開始。

TSMCの「作るのが難しいチップを作れる」能力がハイライトされていますが、私が面白いなと思ったのは、業界構造の変化を早くから予見してファウンドリー(製造)に特化した点だと思っています。

TSMC創業者は「日本や韓国と同じことをやっても勝てない」ということで、設計せずに製造だけに特化したファウンドリービジネスを始めます。

そもそもチップを作るには設計と製造の「すり合わせ」が必要ですが、設計ツールの進化やチップ設計の標準化によって、「すりあわせ」の手間はは減っていきます。だったら必ずしも同じ企業が設計・製造をする必要がないだろう、そもそも工場は巨額投資が必要なのでそのリスクを取りたくない企業が多いだろう、すると半導体業界は設計・製造の分業型に移行するだろう、という考えです。

もう一つは、TSMCがファブレス企業 (設計に特化した企業)に設計ライブラリを提供している点です。TSMCは自分たちの工場の製造プロセスに適した設計ノウハウをファブレス企業にライブラリとして提供しています。これはファブレス側からみると、「チップをこういう設計にすればTSMCに作ってもらえる」と理解できます。

こうやって考えると、TSMCは微細加工が得意なだけでなく、ファブレス企業に対して「作れるものを設計するための設計支援」と「作るための場 (工場)提供」をやってる、チップ生産のためのインフラ企業のようになっているように思います。

顧客を多く抱えるほど多品種になるので工場のオペレーションが難しくなりますが、おそらく血のにじむ努力で顧客の要求に応え、工場を拡張し、リスクをとって、稼いでは投資を繰り返し、他企業を突き放したのだと思います。モンスターです。

 

【良書】【書評】めちゃ面白かった本「2030 半導体の地政学」

読むとテンション下がる貧乏くさい国。「安いニッポン」

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