前回の続き。
すぐれた投資家はサイクルに注意を向けている。過去にあったパターンが繰り返されている様子はないかを気にかけ、問題とすべき様々なサイクルのどこに今、自分たちが位置しているのかを感じ取り、そうしたことが自身の行動にどのような影響を及ぼすのかを理解する。
なぜ優れた投資家はサイクルに注意を向けるのかというと、サイクルの位置によってリターンの確率分布の位置が変わるから。
ほとんどの人は未来に対処する方法として、何が起きるのかという点に関する見解を(おそらく確率分布を用いて)まとめることを思いつく。私は、やらなければならないことは一つではなく、二つあると見ている。何が起きるのかだけではなく、その見解が実際に当たる確率はどのぐらいかについても考えをまとめておくべきだ。
本書の言葉を借りると、「サイクルの波によって、将来の出来事の幅を示す確率分布の位置は変わる」ので、サイクルの位置によってリターンの確率分布を理解すれば負ける回数よりも勝つ回数を増やすことができる、というわけです。
では、サイクルの位置によって確率分布がどう変わるか?本書でいくつかグラフがでてくるのですが、私が1枚の図にまとめたのがコレ。
相場が割安→適性→割高へと移動するほど、確率分布が左へ移動していくのが分かります。左へ移動するとはつまり、分布の平均値が小さくなっていくということです。
サイクルの位置と確率分布に対する理解をどう活用すべきか?についての記述は次の通り。
サイクルの立ち位置が変わると、勝ち目も変わる。情勢が変化しても投資スタンスを変えないのであれば、サイクルに対して受け身の姿勢をとっていることになる。・・・だが、サイクルに関する何らかの見識を生かせば、勝ち目が大きくなった時には投資額を増やしてより積極果敢な投資を行い、勝ち目が乏しくなったときには投資額を減らしてより防御性を高めることができるのだ。
ところで市場平均株価がサイクルを示すのは分かったが、そんなにきれいなサイクルを示すのかピンとこない感じもします。もう少し現実的な変動グラフは別記事で紹介します。
関連記事:
【驚愕】米国S&P500のリターンが示すサイクル。上がれば下がる市場のリズム。