ハワード・マークス氏の「市場サイクルを極める」には市場のサイクルを理解する重要性が述べられています。
すぐれた投資家はサイクルに注意を向けている。過去にあったパターンが繰り返されている様子はないかを気にかけ、問題とすべき様々なサイクルのどこに今、自分たちが位置しているのかを感じ取り、そうしたことが自身の行動にどのような影響を及ぼすのかを理解する。
そのサイクルを示すのが下の図。そのサイクルとは、上昇トレンドを示す直線を中心に正弦波のようなカーブを描くということ。
中心線が上昇トレンドを示すのは長期的な経済成長を示しています。
私が各図の中央にある線は、変動するサイクルの中心点を意味する。基調となる方向性や長期トレンドが見られるものもあり、その多くは上向きである。時間の経過とともに、そして長期的に経済は成長し、企業利益は拡大し、市場は上昇する傾向がある。
中心線周りの正弦波は振り子の振動との類似性から説明できます。投資家が相場が「割安」と判断株価は上昇しますが、適正価格で止まらず上昇を続けます。そしてあるタイミングで「割高」と判断されて下降局面に入る。逆もまたしかり。
特に言えるのは・・・ピーク或いは底からの揺り戻しは、中心点ではまず止まらないということだ。中心点を過ぎてもそのまま動き続け、反対の極限へ向かうという流れは、かなり確実に起る。
たとえば、相場が「割安な」状態から「適正な」水準へと変動し、そこにとどまることはほとんどない。だいたいは、著しく落ち込んだ水準からの回復をもたらすファンダメンタルズの改善や楽観主義の台頭が、「適正」水準に達してからも影響力を発揮し続け、相場をさらに「割高な」水準へと向かわせるのである。
すぐれた投資家はサイクルに注意を向けている。
サイクルとは上で見たように中心線の周りの正弦波のように表現されることが分かりました。
ここからが本書の面白いところですが、サイクルの位置によって投資家のリターンの確率分布の位置が変わる、という考え方をしている点です。
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