各国指導者の新型コロナウイルス対応の評価を尋ねた国際比較調査で、日本が最下位となった。時事通信の記事から。
23カ国・地域の人々を対象にそれぞれの指導者の新型コロナウイルス対応の評価を尋ねた国際比較調査で、日本が最下位となった。日本の感染者数、死者数は世界との比較では決して多いわけではないが、安倍晋三首相らの指導力に対する日本国民の厳しい評価が浮き彫りになった。
調査はシンガポールのブラックボックス・リサーチとフランスのトルーナが共同で実施。政治、経済、地域社会、メディアの4分野でそれぞれの指導者の評価を指数化した。日本は全4分野のいずれも最下位で、総合指数も最低だった。
この記事は何故かソースをリンクしていないので、探してみたところここに発券。可視化のセンスがよく、図がかなり見やすいのでそのまま貼っておきます。
引用:Blackbox
自国の指導者のリーダーシップが発揮されたと感じた国のトップ10は中国、ベトナム、ニュージーランド、UAE、マレーシア。逆にワースト5はタイ、韓国、フランス、香港、最後に日本です。日本では指導者を評価したのはたったの5%という結果だ。
この調査を見て思うことは、指導者の対応による結果とリーダーへの評価は必ずしも一致しないということ。例えば日本に比べてアメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・イタリアの感染者・死亡者は日本よりずっと高い。人口100万人当たりの感染者数は2,000を超える。それでも指導者を指示する割合は20~30%ある。一方、日本では人口100万人当たりの感染者数は120人程度。だが指導者を評価しているのはたったの5%。
注目すべきは西側先進国のニュージーランドで67%が指導者の対応を評価しているということ。ニュージーランドの100万人当たりの感染者数は実は日本の2倍近くで、数字だけ見れば日本の方が感染率は低い。ニュージーランドの首相の評価がこれだけ高い理由は色々と分析されていて、いくつか挙げると
(1) 動きが早かった。2/3の時点で中国からの渡航者の入国をすぐに禁止。
(2) 3月中旬には全世界からの渡航者の入国を禁止。同時に8000億円規模の経済対策を発表。
(3) 3月末にビデオ・メッセージを配信。国民へ戦略を説明して団結を呼びかけた。
安倍政権は緊急事態の宣言が遅れたとして批判されている。感染拡大リスクの大きさが予測できない早期の段階で緊急事態宣言を出したら出したで困る人もいる。そこは感染拡大のリスクと経済への影響のトレードオフを考える必要があるわけで、遅れた遅れたと騒ぐのは結果論だと私は思う。だから宣言のタイミングを今更どうこう述べるつもりはない。
この調査結果から何を学べるだろう。「結果」と「支持率」が乖離するのであれば、どういう指導者が支持されるのだろうか。個人的な経験を踏まえて言うと、人がストレスを感じてリーダーを不甲斐ないと感じるのは、
(1) 先が見通せない状況に対して、
(2) リーダーが何を考えているのか見えず、
(3) リーダーがアクション取るのが遅い
だろう。私の上司がこんなんだったら間違いなく軽蔑していると思う。けっきょく人は、リーダーの行動した結果が多少悪い方向に向いてしまったとしても、先が見えない状況を早く打破する方を強く望むのだと思う。
支持率を高めるために先の見通せない状況を打破するのを優先するとすれば、指導者がとるべき行動は、
(1) どう対処しても経済的・人的損失が出る現実を受け止める。
(2) とにかく早くアクションする。
(3) 状況と意思決定過程を発信する。
(4) 団結を呼びかける。
(5) 厳しくやる。徹底的にやる。
こんな感じだろうか。
ただし指導者だけが頑張っても意味はない。国民が現実を受けとめて、指導者が決めた方針に納得して行動することが必要なことは言うまでもないだろう。だから発信の仕方や心に刺さる呼びかけが必要になるわけで、これは指導者のプレゼン能力や人身把握力が必要になることは言うまでもない。
ここまでは「結果」はさておき「支持率を高める」ためには何が必要なのかを書いてみた。当然「支持率が高い」だけで、死者が数万人出るような最悪の結果に終われば、未来から振り返ると「何やってたんだ」という話になるだろう。それでもやはり「支持率を高める」ことはそれ単体で完結する話ではなく、「結果」にも影響すると思う。支持率が低い状態だと指導者が示した方針に国民が従わないか、嫌々従うことによって方針が中途半端に守られるために、結果が悪くなる可能性が高い。そうすると今回の調査結果の5%というのは非常にマズイ状態だろう。