インデックス投資でリターンを高めるのに重要なのは、(投資金額) x (年数)です。ファンドの価格は制御不能ですが、投資金額と年数は個人で制御できます。
この記事では、トータルリターンと(投資金額) x (年数)の関係を示します。後者を「円・年」と呼ぶことにします。
ファンドに30年間投資することを考えます。初年度に30万円を一括投資する場合、30万円を30年間保有するので、(投資金額) x (年数)は900万円・年です。
一方、ドルコスト平均法では、毎年1万円ずつ投資していきます。このときの(投資金額) x (年数)は465万円・年です。
まとめると;
一括投資:合計30万円投資、900万円・年
ドルコスト平均:合計30万円投資、465万円・年
どちらも投資金額は30万円ですが、円・年が異なることに注意してください。
では、リターンと円・年の関係を詳しく見ていきます。以下は前提条件。
(1) S&P500連動ファンドを想定。年率リスクとリターンはそれぞれ20%と7%とする。
(2) 株価は幾何ブラウン運動すると仮定、モンテカルロでシミュレーション。
(3) 複数のケースの円・年と30年後リターン平均値を計算する。なお、合計投資金額は全ケースで30万円に一致させる。
結果を示したのが下のグラフです。
円・年が最大になるのが初年度一括、最低になるのがドルコスト平均です。円・年が減るにしたがって平均リターンも下がって線形の関係にあるのが分かります。
初年度一括:平均リターンは8.2
ドルコスト平均:平均リターン:3.5
近似式は、(平均リターン) = 0.01 x (万円・年) – 1.68
近似式の傾きが0.01ということは、円・年が100万減ると、平均リターンが1倍分減るということです。これは、手元にある3.3万円を30年間投資せずに現金で保有しておくことに相当します。
ちなみにリターン中央値と円・年の関係は以下の通りです。
近似式は、(リターン中央値) = 0.002 x (万円・年) + 1.54
となります。傾きが0.002とかなり小さいため、円・年の減少がリターン中央値に与える影響は平均値よりもマイルドになります。
関連記事:
記事が役に立ったらクリックお願いします↓