読者様から質問を頂きました。
社畜チャンドラ様、
こんにちわ。
私はバンガード VOOに投資していますが、最近個別株をポートフォリオに加えたいと思っています。
インデックス中心のポートフォリオに個別株を加えることに、どのような意見をお持ちか教えてください。
質問ありがとうございます。回答させて頂きます。
これは私の独特の考え方ですが、ポートフォリオを組む際は「まずはS&P500に連動するインデックスを中心に据えて、それをどのようにアレンジしていくか?」ということを考えます。例えると、車を買ってエンジンやホイールや内装をお好みで変えていくというイメージです。
何故さいしょにS&P500に連動するインデックスファンドを考えるか?根拠は次の通りです。
(1) 過去に米国株式指数S&P500は年率7%程度で成長してきた。
(2) 世界から優秀な人材を集め、人口増加が見込める米国経済はこれからも成長が期待できる。
(3) インデックス投資はリスク分散効果がある。特定の企業やセクターの暴落のダメージを緩和できる。
(4) コスト(購入時手数料、維持費)が安い。
(5) 時価総額加重平均インデックスに基づくポートフォリオが最も効率がよい (=低リスク・高リターン)という理論的な裏付けがある。(ただし前提あり)
(6) 賢人(バフェット、チャールズ・エリス、マルキール)は著書の中でインデックスファンドを長期で保有することを推奨している。
ではインデックスファンドを中心に据えるとして、個別株を追加するとします。その目的は何でしょうか?資産を増やすことでしょうか?
例えばインデックスファンド (90%) + 高成長株 (10%)のようなポートフォリオを組んだとします。成長中の企業の株価は上昇するのでインデックスオンリーのポートフォリオよりもリターンは高くなると思います。
1000万円を30年間運用するケースを考えます。結果は次の通り。
Index (年率5%)のみ:4,100万円
Index (年率5%)+個別株 (年率6%):4,200万円
Index (年率5%)+個別株 (年率7%):4,400万円
Index (年率5%)+個別株 (年率8%):4,600万円
Index (年率5%)+個別株 (年率9%):4,900万円
Index (年率5%)+個別株 (年率10%):5,200万円
理論上は高成長株10%加えると確かにリターンは大きくなります。例えば年率10%の銘柄を加えればIndexオンリーよりも1,100万円も増えます。
でも、30年間も年率9%や10%成長を維持できる銘柄なんて素人が見つけることができるもんでしょうか?私はそこに疑わしさを感じます。
また成長が望めなくなったときは株を売却して他の成長株かインデックスに乗り換えることになりますが、売却すると利益の約30%に税金が引かれます。
そのようなややこしい点を加味すれば、初めからインデックスに投資してずーっと持っておく方がいいと思います。
もちろん高成長株をポートフォリオに加えておいて、5年毎とかに銘柄を入れ替える手もありですが、売買を繰り返すほど税金で失う金額は無視できないという点は忘れてはいけないでしょう。
シンプルさを求めるのであればインデックス1本です。これが私自身がインデックスにこだわる理由です。
またインデックスファンド (90%)+高配当株 (10%)のようなポートフォリオも考えられます。一般的に高配当株は高成長株ほど成長率は高くありません。
高配当株を加える狙いは配当収入でしょう。でも何故配当収入が必要なんでしょう?労働収入があるのなら税金引かれてまで配当金を現金で受け取るメリットはありません。再投資にまわせば複利効果で資産を増やせますが、そこで課税される金額は見逃せません。
配当利回りが大きい銘柄の配当を再投資し続ければ、インデックス1本よりも高リターンを望めます。ただしある程度の成長率は必要です。この点は過去記事で検証していますので参考にしてください。
年成長率2%の個別株は、配当利回り5%を維持しなければ、年成長率5%のインデックスに勝てません。
ここまで考えると、「資産を増やす」を目的としてインデックスファンドに個別株を加えることに私は大きなメリットを感じません。
市場平均より高い成長率を長期間維持できる成長株や、市場平均に近い成長率かつ高い配当利回りを長期間維持できる高配当株をみつける目利きがあれば、トライする価値があるでしょう。私にはないので、やめておきます ww
一方で「趣味でやる」のが目的ならいいと思います。やはりインデックス投資を超えるリターンを生むポートフォリオを構築するというのは、株を勉強して来た人にとってはある種の魅力があることは確かですしね。
答えが参考になれば幸いです。